半年くらい前、車からふと見上げると2階の角部屋から上が黒く焦げているマンションがありました。ああ、火事かと思っていたのですが、それからしばらくして足場が組まれてマンションの外装が修理されはじめて、半年たった今もそれが続いているようです。
自分も火事を起こす可能性はゼロではありません。
そのときの影響を小さくするために火災保険というものに入っているはずですが、自分の家や部屋(マンションの場合)はともかく、人様のものを黒焦げにしてしまった賠償はカバーできているのだろうかと不安になりました。
保険屋さんに聞いてみると、意外な答えでした(みなさんにとっては常識的なことかもしれません。すいません。)
☑ 類焼の損害賠償の責任はない
民法709条に以下の規定があります。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
だから、基本は、故意でも過失でも、だれかに迷惑をかけたら損害を賠償しなければなりません。
しかし、「失火の責任に関する法律」というのがあって、以下の記述になってます。
民法第七百九条 ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
つまり、失火の場合は、上の709条の賠償責任はないということです(重大な過失がないときは)。
日本は狭い土地の中に住宅が密集しているし、火事があれば、まあ他人の家まで燃やしてしまうケースが多かったようです。自分の家も失った人に他人の家の賠償まで求めるのは現実的ではない。そういうリスクは誰にでもあるのだから、お互い様だから、そこは問わないルールにしましょうと、明治32年の人たちは類焼のリスクをお互いで受け容れあうことにしたのです。なかなか合理的ですね。
まあでも、さすがに見舞金というか、少しは慰謝料みたいなものを支払うケースが多いらしく、それのための保険の特約がオプションで用意されています。
☑火災保険とは何なのか
つまり、火災保険は何なのかというと、自分の家が火事にあったときに自分の家を修復するための保険です。
もちろん、家事の原因が隣の家でもよいのです。
むしろ、そうしないと先ほどの類焼の話で、火元の家からの賠償はないのですから、守りようがなくなってしまう。
マンションなんかは、普通は、共用部はマンション管理組合が共用部の火災保険に入って、そこはマンションとして守っています。
つまり、みんなそれぞれ自分の場所は自分で守ろうねという発想になってます。
まあ、家事を起こしてしまったら、近隣の方の目線に耐えられそうにないですから、そんなことは起こらないように、気を付けていきましょう。
ということで、今日は、
故意ではなく火事を起こしてしまったときに、隣の家までの損害賠償を負う責任はないから、自分の家は自分の保険で守らないといけません。という記事でしたー。