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論理で勝負する前に押さえておくべき大切なこと (「プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法」を読んで)

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弁護士の石井琢磨氏の著書「プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法」を読みました。 

プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法

プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法

 

 

筆者がこの本で強調しているのは、まず最初に相手のネガティブな感情を解消し、そのうえで論理で納得を得て心を動かし、最後に友好的に締めくくるという基本的な流れです。 

いくつか気になったポイントを挙げておきます。

ボクの勝手な解釈も入ってますので、気になった方はぜひ原著をチェックください。

 

 

☑敵対心むき出しの相手にはその欲求や理由を探る

敵対心は、あくまでもポジションからくるものなので、過剰に反応することはよくありません。状況を分析して、「味方になるほうがトクだ」と説得できないか考えてみましょう。 

相手は本当に敵なのか?

相手の感情の背景にある「欲求」を探り、そこを満たせないかを考えてみましょう。

 

もしかしたら、演出かもしれません。

単に、ボスに言われてるだけかもしれません。

挑発して心を動揺させているのかもしれません。

このようなパターンも想定し、冷静に対処できる準備をしておきましょう。

 

☑人は罪悪感を解消するために行動を起こす

「返報性の法則」というのがあって、まず何かを与えることで、相手は返さないと悪いという罪悪感を抱きます。

だから、相手の行動を引き出すためには、まずこちらから何かを与えたり、こちらから好意を持ってみることが大切なようです。

腹が立つ態度を示す相手に対して、友好的に対応するのは、なかなか難しいですが。。

 

 ☑共同作業風にすることで合意が得やすくなる

ひとつの表を一緒に書き込んだり、文書を一緒に作っていくプロセスによって、共同作業感が産まれれば、最終の合意が得やすくなります。

人には「役割が欲しい」という欲求もありますから、相手に役割を与えながら進めていくことが有効です。

 

☑時間をかけて交渉することで合意が得やすくなる

せっかく時間やエネルギーをかけてきたんだから。ということが、話をまとめる力になります。これは、サンクコストというやつです。

 だから、じわじわと時間をかけて話をすすめていくことも大切なようです。

 

☑自分のタイムリミットは教えてはいけない

 交渉をまとめないといけない期限がある場合、これを知られると弱みになります。

足元を見られることになって、今すぐ合意するならば、こういう条件になりますと、厳しい要求を突き付けられかねません。

 

逆に、「決裂したら、それはそれで仕方がない」と考えている側が有利になります。

 

☑論理は心の移動手段

論理でコントロールできる範囲は限られています。・・

論理でコントロールできる範囲を知るために必要なのが「情報」です。

情報の中でも、優先して押さえたいのが、相手の「タイムリミット」と「他の選択肢」です。

相手が何を欲しているかとか、何の制約を受けているかという情報によって、論理が効かない領域も出てきます。論理の組み立て方も変わってくるのです。

論理は絶対的なモノではないことを知ることが大切なのだと思います。

 

必要な論理の程度は、「相手との関係」で決まるのです。

 そして、論理の程度も相手との関係次第

嫌いモードになっている相手にいくら論理的な話をしても聞いてもらえません。情報ももらえませんから、適切な論理も組めません。

とにかく、相手との良好な関係を持つことが大切だということです。

うーん。論理という武器を振りかざして戦うというのが弁護士のイメージでしたが、この話は、とても意外で価値があるところでした。

 

目的はあくまで相手を動かすこと。

論理は心の移動手段の一つであって、必ずしも必要ではないくらいの存在なのです。

納得感を与えるためのサポートとして、論理は有効なのです。

 

まず感情。これは、ヨメさんとの議論において、とても大切なことですね。

いくら、論理を振りかざしても無駄な場合があることの代表格です。。 

 

☑心理戦において守るべき「自分の心」

負の感情は人から人へ伝染します。負の感情に支配されてしまうと、思考が停止し、交渉も相手のペースに飲まれてしまいます。

だから負の感情の連鎖を断ち切りましょう。

具体的には、次のような方法が挙げられています。

  • 忘れること
  • 一つの正義だけを信じ込まず、予備的な「正義B」を持っておく。「この人の正義には60%同意できる」というように、パーセンテージで考える。
  • 現場で矢面に立つ自分を別の人格でとらえる。これは幽体離脱という話ですね。「アホとは戦うな」でも出てきたフレーズです(「頭に来てもアホとは戦うな!」を読んでわかったボクに欠けていた大切なこと)。
  • 共感しすぎない。相手の立場に立つことは大事だが相手の感情にならなくてもよい。
  • 発生した感情によって、どのような気分になるかは別問題。ネガティブな感情のときは心の感度を下げる。ポジティブな感情のときは心の感度を高める。スル―力というか、そういうことだと思います。

 

☑最後は相手に良い感情を与えて終えるべし

罪悪感と敗北感をうまく消し去り、気分よく終わらせることで、その後に相手が動いてくれやすくなるのです。

だから、負けたふりをしたり、手強かったですーと、相手の自尊心を満たすことで、相手の敗北感を消し去りましょう。

 

ということで、今日は、プロ弁護士から学ぶ心理戦のテクニックの話でした。

論理という武器を振りかざして戦うというのが弁護士のイメージでしたが、相手の感情をとても大事にしているというのが印象的でした。

ちなみに、交渉術そのもののテクニックについては、瀧本哲史さんの「武器としての交渉思考」の方が体系的に書かれていました。

武器としての交渉思考 | Voyage of Life

 

武器としての決断思考 (星海社新書)

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