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Voyage of Life

日々の読書、子育て、暮らし、仕事から学んだコト

中村修二氏の青色LEDによるノーベル賞受賞で考える企業から社員への特許報酬のこれから

 

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PixelAnarchy | Pixabay

 

中村修二氏をはじめとする3人が青色発行ダイオード(LED)の開発によりノーベル賞を受賞した。このニュースを聞いた途端、中村修二氏の特許訴訟の話を思い出した。

今日は、中村修二氏について思うところを書いてみたいと思う。(トピック「ノーベル賞」について)

 

☑青色LEDの開発はやはりすごい

青色発光ダイオードの実用化によって、ようやくLEDで白い光を作れるようになり、これが省エネに大きく貢献するLEDの実用化を加速させた。

青色LEDがノーベル賞に値する理由 « WIRED.jp

 

そういう意味では、青色LEDは赤色LEDと緑色LEDの3原色のうちの1つであり、赤色と緑色LEDを作った人も大切にすべき存在だとは思う。

単に青色が白色LEDのためのアンカーだったというだけでなく、それが難しい開発だったということが、ノーベル賞受賞の理由なのだろう。

省エネで長寿命。確かに、エジソンが白熱電球を作り上げたレベルに匹敵する大発明なのかもしれない。

 

☑中村修二氏の独特なスタイル

中村修二氏の独特なスタイルは、以下の記事から読み取れる。

ノーベル賞「青色発光ダイオード」はいかに生まれたのか 中村修二「青色レーザーを生んだ『考える』執念」【1】:PRESIDENT Online - プレジデント

「ノーベル賞」受賞は通過点の一つにしか過ぎない 中村修二「青色レーザーを生んだ『考える』執念」【2】:PRESIDENT Online - プレジデント

 

おそらく、非常に負けん気が強くて、粘り強い人なんだろうなと。

そして、家族をとても大事にしているっぽい。

それなりにいろいろチャレンジしているし、技術的にすごいものを持っているが、会社ではそれほど評価されなかったということが、怒りに変わり、これが結果的には、爆発的でチャレンジングな研究姿勢を産んだのだと思う。

 

そして、その怒りは収まりそうにない。

自分はあまりにも世間知らずだった。たしかにこれでは奴隷(スレイブ)だ。索漠たる思いとともに、会社を辞めようという気持ちが徐々に固まっていく。スレイブは、自由な身の市民(シティズン)へと脱皮を願うようになった。「会社に対する愛着とか忠誠心はないのですか」と聞いてみる。中村はあっけらかんとして答えた。 「全くないですね。いまはもう、よくもあんなところに20年間もいたなという感じです」

この発言からは、お世話になった日亜化学工業への感謝とか謙虚さとかは微塵も感じられない。

これだけの偉業を成し遂げたのだから、もう少し発言だけでも謙虚と感謝に満ちたものだったら、それこそもう一段、偉人として認められるだろうにと思うと残念だが、その怒りこそが発明の原動力だったのだから仕方がない。

 

☑特許訴訟は日本企業での技術者と会社の関係に一石を投じた

これだけのことを成し遂げたのだから、それなりの対価をもらうべきであるということで、彼は自分の会社、日亜化学工業に対して訴訟を起こした。

これについては、以下の記事にわかりやすく書かれている。

訴訟で600億円とも認定されていた中村修二氏の職務発明の対価-ノーベル賞 - 法廷日記

確かに、会社が1200億円とか、そういう利益を得ているのに、2万円の手当てで済まされるというのはおかしい。

結局最後は、彼の功績は5%程度であるという高裁の勧告書により和解されたようであるが、5%ということもないだろうに・・とは思う。

 

☑しかし、サラリーマンというのはそういうものだ。

 

しかし、忘れてはいけないのは、なんでもやりますーと言って、サラリーマンになることを選択したことだ。

たいして会社の利益に貢献していない間も、給料をくれつづけた会社への感謝は少しなりとも覚えておくべきだろう。

そして、個人的にはノーリスクで、開発費用を会社から出してもらい、好きな開発をさせてもらったわけだ。

1200億円も、利益を出しておいて、2万円ってことないでしょう?というのは言ってもよいと思うが、そこまで世の中に役立つ何かを生み出すことをサポートしてくれた会社に対して、感謝の念はあってもよいと思う。

 

☑企業は優秀な技術者を確保しモチベートできる独自ルールを作ればよい

 

来年には、特許は会社側に帰属し、社員への報酬を義務付けるという法改正がなされようとしている。 

社員の発明に報奨義務、法改正へ 特許は会社に帰属 :日本経済新聞

これによって、会社側は「相当の対価」を巡って訴訟を起こされるリスクを減らせるとのことであるが、結局は報酬をどうするのかの議論は残る。ただ、報酬を定めるためのガイドラインのようなものが特許庁により整理されるようだ。

 

中村修二氏の場合、この報酬(というか、相当の対価)を決めるルールを、会社側と社員側で共有できていなかったから、訴訟に至ったのだろう。

事前に、君たちはすばらしい発明をして、会社がとても儲かったとしても、2%程度しか報酬を与えないからね。という規定が出されていたら、それを分かっていて発明を頑張ったのでしょう?いやだったら、会社辞めたらよかったじゃない という風に、ある意味、スッキリするだろうから、まあ、ガイドラインが出されるというのは良いのかもしれない(大手企業では、ある程度計算ルールが明確になっているが、そうでないところも多いだろうから)。

 

だから、会社側は、この報酬ルールをうまく設計して、技術屋の底力を引き出すような仕組みをつくればよいのだと思う。優秀な技術屋を確保することにもつながるだろうから。

 

そして、ボクが気になるのは、中村氏の例(ひとりで結構いろいろやってしまっている)はレアケースであり、大抵は、大きな仕事は一人ではできない。研究はもちろん、研究のきっかけを与えたマーケティングや、大量生産につなげるための設計屋など、あらゆる人が少しずつ頑張って、モノができるのだと思うから、その旨味を発明者が独占してしまうのもどうかと思ってしまう。このあたりの配慮も必要だろう。

まあ、ゼロからイチを生み出せる技術屋は、それだけスゴイということなのだが。

 

今日は、中村修二氏の青色LEDによるノーベル賞受賞に際して、考えたことを書いてみました。