会社では業績や評価によって成績がきまり、それがボーナスにも影響するという成果報酬の制度が当たり前になってきています。
ボクは、以下の記事でも成果主義のデメリットについて書きましたが、特に、客観的な評価なんて土台難しい話なので、チームワークを要する仕事では、チームの不協和音を産んだり、うまく評価されないことが逆にやる気を削ぐので、成果主義はうまくいかないというところを強く感じてきました。
ホワイトカラーエグゼンプション 成果主義の4つのデメリット - Voyage to the Future
今回ご紹介するTEDは、その4つのデメリットを補強するもので、成果主義による動機づけはむしろ逆効果になりうるという社会科学の実験結果をベースとした話でした。簡単に紹介します。
ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」 | Talk Video | TED.com
☑ 周りをよく見て考えなければ解けない問題を使った実験が行われた。
サムグラックスバーグという科学者が、「ろうそくの問題」という問題を2つのグループに解かせて時間を測る実験をした。
ろうそくの問題は、絵をよく見て良く考えないと解けない問題である。
☑ その問題を早く解ければお金がもらえると聞いたグループは、ただ平均的な回答時間が知りたいと告げられたグループよりも、回答が遅くなった。
これは意外な結果である。しかし、繰り返し行われて再現性がある結果だということです。
☑ 視野を広くして、クリエイティビティを発揮しなければ解けない課題に対しては、アメとムチによる動機づけは逆効果になる。
お金に目がくらんだというか、猪突猛進的な心理状態になり、それが視野を狭めたということなのでしょう。時間がかかるくらいならまだよいですが、世の中に転がっている難しい問題は、下手をすれば、答えが見つからないことになるかもしれません。
ニュートラルな心理状態で落ち着いてアプローチすることが大切であり、アメとムチ。つまり、世の中でいう成果主義的なアプローチは、創造的な仕事とは合わないということだと思います。
☑ 機械的に何かをやるという作業には、アメとムチによる動機づけは効果がある。
ろうそくの問題を簡単にしたら、報酬がもらえると聞いたグループの方が回答が早くなったという結果もあり、比較的単純な作業にはアメとムチが有効だということです。
☑ 創造性を高めたいならば、内的動機づけ(自主性、成長、目的)が有効である。
ではどうすればよいのか。ダニエル・ピンクは以下の3つの要素を挙げています。
- 自主性(Autonomy):自分の方針は自分で決めること
- 成長(Mastery):自分が成長したいという気持ち
- 目的(Purpose):なにか大きなことへ貢献したいという気持ち
コーチングでもよく耳にするこれらのキーワード。
外的な動機づけは、内的な動機づけには勝てないということです。
☑ 内的動機づけを大切にした企業が成功している。
Googleの20%ルールとか、「新しい働き方」でも紹介した勢いのある企業は、何より自主性を大切にしています。
やりたいからやっている。という状態が一番強い。
そういう環境を作れている企業が、これまでの延長線上になりアイデアを生み出し、世界を動かしていっているのです。
☑ まとめ
日本の企業は、成果主義をうまく導入するべきというところから、次のステップになかなか移行できていないように思います。
しかし、成果主義ではうまくいかないことが科学的に証明されているのです。
もうそろそろ、次のステップに移ってはどうだろうか。
それにしても、ダニエルピンク氏の話はうまいし、面白い。
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
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