43歳で初めて上場会社の社長になり、47歳で「ザ・ボディショップ」の社長に、さらに51歳で「スターバックス コーヒー ジャパン」のCEOになったという岩田松雄氏の著書「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方」を読みました。
51の項目が、丁寧な言葉で挙げられていて、どれも納得感があるものだったのですが、特にボクの心に入ってきた13の項目を厳選し、まとめてみました。
1.いつか努力が実を結ぶと信じる
コツコツとした地道な努力がどうしてできるのか。それは、頑張ればきっといつかその努力が実を結ぶと信じられるからです。
「いつか努力は実を結ぶ」ということは、子供の頃から繰り返し言われてきたせいか、「そりゃそうでしょ」という感じもしますが、改めてこの言葉を久しぶりに目にしたとき、だんだんこのことを信じられなくなっている自分を感じました。
理不尽なこともたくさんある会社の中で、うまく落ち着いて対応していくには、「努力が実るとは限らない」、「会社は人生の3割」くらいのスタンスで力を抜いて臨んだほうがうまくいくということを感じているからです(以下の記事を参照ください)。
しかし、そういう環境の中でこそ、努力をコツコツと続けられるかということが普通の人間には難しくて、それができる人はなかなかいないのだと思います。
力を抜きながら、淡々と努力を積み重ねていく。
中日の落合のような感じでしょうか・・(古い・・)。
2.挫折体験を大事にする
苦しい体験、挫折体験は、私にとってかけがえのない経験になりました。こうした経験があるからこそ、私の意識や目線は大きく変わっていったのでした。人の痛みが想像でき、それを理解した上で行動ができるようになったのです。
3.ミッションが大切
もしリーダーとして組織を率いることになったら、真っ先に考えるべきは、自分たちの存在理由(ミッション)は何か、ということだと私は思います。それが崇高なものであればあるほど、多くの人に響くものになります。
4.虚勢をはらない
組織は一人では動かないのです。いくら虚勢を張ったところで、できることには限界がある。それよりも、みんな支えてくれ、というスタンスを大事にすること。威張っても仕方ありません。
リーダーは威厳を示さないといけないかなあとか、迷うこともあるかもしれません。
しかし、権力や威圧感だけで組織を制圧しても、以下のとおり困るだけです。リーダーの仕事が減らないのです。
- 真実がつかめなくなる。(部下はいいことしか言わなくなる)
- あるいは、悪い情報がぎりぎりで報告される
- 報告が遅すぎると怒ると、今度は悪いかもしれない微妙な情報がとにかく報告される
- 指示待ちの部下が増える。
だから、「みんなで一緒にやっていこう」というスタンスがよいのです。
5.言葉を大切に使う
たったひとつの上司の言葉が、萎縮することなく、伸び伸び仕事をすることを可能にしてくれたのです。それだけの言葉を、リーダーは発することができるのです
筆者は「お前が失敗したくらいでは、この会社はつぶれないよ」という上司の一言で、勇気を持って、思い切って仕事をできたという経験を元にこのように語ってます。
まあ、こういう言葉をかけたら、途端に手を抜くかもしれないという後輩には、とても言えそうにないですが、できるだけ、こういう言葉をかけることを心がけたいです。
自分が相手の立場だったら、どういうふうに接してほしいか?を、少しでもいいから想像してみて、発する言葉を選ぶことが大切のようです。
このラインの中で、付加価値を生み出しているのは、火花が散っている、あの瞬間だけなんだ。だからそれ以外、在庫管理をしたり、モノを動かしたり、打ち合わせをしたりするのはすべて無駄だという目で見ろ
先輩の言葉として筆者が挙げている話に「火花が散っている瞬間を見極めろ」という話があります。 これはすごくいい話だと思いました。
溶接工場で付加価値を生み出しているのは、バチっというあの瞬間だけ。自分の仕事で、付加価値を生み出す瞬間はどこでしょうか。確かに、ものづくりの場合は、品質を確保するための活動が重視されるのですが、本当に「火花が散る瞬間」があるはずなのです。
このような、一生使えるような「ものごとを見る視点や考え方」を、後輩などに伝えられたら、嬉しいなと思います。
6.わかりやすさを最重視する
リーダーとして部下に話をするとき、最も重視しなければならないのが、この「わかりやすさ」
そして、そういう言葉をわかりやすく伝えるということを最重視しなければならないということです。
難しい言葉は要らないのです。
ぶっきらぼうに言葉足らずで話して、行間を読め!というような言い方をする人もいますが、わかりやすさを最重視して、丁寧に語りましょう。
7.間違った行動には正面から怒る
ずるいやり方をしようとしていたり、適当に物事を済ませようとしたり、何よりも本人に悪いことをしたという自覚がないとき。そうした、人として間違った行動を取ったときには、大きな声で真正面から怒鳴りました
一生懸命にやってミスしたのならば仕方がない。
しかし、適当にやってミスしたとすれば、それは怒る時。
誰かのために(もしかして、自分の健康を犠牲にしてまで)怒るということはとても労力が必要なことですし、誰しも嫌われたくないのですが、それでも、怒る時は怒るというスタンスがリーダーには必要なのです。
8.迷ったときにはやってみる
もしうまくいかなかったなら、そこから何かを学べばいいだけのことなのです。やってみたけれど、失敗してしまった、次からは気をつけよう、と。 しかし、やらなかった後悔というのはチャレンジをしていないわけですから、何も学ぶことがなく、まるで違う後悔になってしまう。
迷ったらやってみる。
これは、いろいろな本でもよく目にする言葉ですが、ここでもわかりやすい理由をしっかりと挙げてくれているのが、岩田氏の人柄というか、すばらしさを表しています。
やらなかった後悔からは学ぶことがない。だから、それだったらやるべきだということです。
ただし、失敗したら取り返しがつかない「人事」については、例外として挙げられています。迷うということは何か気がかりなことがあるのだから、人事においてギャンブルはやめておこうということのようです。
9.上司のせいにしない
組織のリーダー、とりわけミドルのリーダーが最もやってはいけないことがひとつあります。それは、「オレはいいと思ったんだけど、上がダメだと言うんだよ」という台詞を部下に吐いてしまうこと
何かを却下するとき、その理由を自分の言葉で部下に語れなくてはいけない。
それを怠ると、部下はがっかりするし、自分の存在意義がなくなってしまうのです。
他人が考えていることを否定するというのはエネルギーがいることなので、ついつい人のせいにしてしまいがちですが、それはやっぱり、自分の存在価値を否定することになります。
まあ、年上の方の意見をうまく否定するのは、なかなか大変なので、うまくやる手段の一つとして、上司を使うのはやむを得ないかもしれませんが。。
10.自分の状態がよくないときは席を外す
「今はちょっとダメだな」と思ったときには、意識して席を外すようにしていました
やはり人間なので、イライラしやすい状態のときなどもあって当然です。
大切なのは、そんな自分の状態を認めて、そういうときに大切な議論をするような状況を作らないようにするなどの対応をはかることです。
11.感情を豊かにする
人の心の動きをもっともっと理解できるようにならないといけない。人の思いや、心の機微、そういったものを知っておかなければいけないと思うのです
人を動かすということが大切なのですから、人の心の動きを理解できることがとても大切なスキルになります。そのためには、上に書いた挫折経験も大切ですが、小説や映画などで大いに感動して、共感力を養い、心を豊かにすることが大切のようです。
12.謙虚に努力し続ける
まだまだ自分は未完だと認識し、未完だからこそ努力しなければいけないと思う。そういう姿勢を持っているからこそ、常に成長が続いていきます。
上に立つ人間には、人格が大切になります。
それを作るのは、自分はまだまだであるという認識に基づいて生まれてくる、努力する姿勢や謙虚な物腰なのです。
上に立てば、ちやほやされるシーンも増えるでしょうから、その状況で、勘違いしないように保てるか。これはもしかしたら、とても難しいことなのかもしれません。
13.私利私欲を捨てる
もっと頑張れ、もっと成果を出せ、もっと利益を上げろ、と言っている理由が、自分の出世のためだったとしたら……。部下はとても、やる気になれないでしょう
リーダーというものは本当にしんどいですね。
私利私欲を捨てるということは、とても難しいのかもしれませんが、確かに、こういう自分の利益を求める姿勢や保身の姿勢を垣間見てしまったとたん、この人についていこうという気持ちはいっきにどこかに飛んで行ってしまいます。
志を大切にして、自己犠牲の精神で生きていかねばなりません。
ということで、今日は岩田松雄氏の著書「「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方」から、ボクが気になった13の項目を挙げてみました。割と地味というか、あたりまえのように思ってしまう基本行動ですが、全て実践するのは簡単ではない。
今日のまとめ
ボクの勝手な解釈が含まれているので、気になった方はぜひ原著をごらんください。