2016年もすっかり明けてしまいました。本年も宜しくお願いします。
今日から仕事始めだった方も多いかもしれませんが、正月休みから仕事始めにかけての、気持ちのしんどさというか、ストレスの急上昇はものすごいものがありますね。
当ブログにおいても、「正月明けの憂鬱」について書いた昨年の記事(正月明けの憂鬱に負けずに仕事始めを迎えるために)へのアクセスが集中しているところを見ると、この悩みを持つ人はかなり多いとみえます。
そこで今年は、もうちょっと前向きになれるヒントとして、「ストレスを力に変える」という話からスタートしていきたいと思います。これは、昨年から読みたいと思っていたスタンフォード大学のケリー・マクゴニガル教授の「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」から学んだことの紹介です。
ストレスが有害にならない場合がある
身体に支障が出たり、うつ病的になったりすると、ストレスが原因だと言われることが多いです。ボク自身も風邪をひいたときは、やっぱりストレスで免疫力が下がってたからかなと考えてきました。
この本には、ストレスは病気になったりするリスクを高める原因になりうるが、そうならない場合もあるということが、科学的な実験やデータを元に書かれています。
具体的な例としては、圧迫面接でストレスを与えられた被験者の唾液成分を調べるという実験がなされ、事前に「ストレスは身体に悪い」と言われていたグループよりも「ストレスは悪くない」と言われていたグループの方が、うつ病を促す方向のコルチゾールというホルモンに対し、うつ病に耐える力を生み出すDHEAというホルモンの分泌が多い傾向を示したというのです。
ここで驚きなのは、考え方だけで生理的な反応が変わりうるということです。
ストレスによって得られる力
そもそも、ストレス反応には悪い面だけではありません。
急に獣に襲われることもありえた大昔から人類が生き残るために、いざというときに身を守れるようなストレス反応が備わっているのです。次のようなものが挙げられていますが、これらにはドーパミンとか、セロトニン、オキシトシンというホルモンの分泌が関係しているのだそうです(詳しくは本書を・・)。
- 注意力が高まる
- 五感が鋭くなる
- エネルギーが結集される
- 人の気持ちに敏感になる
- 勇気がわく
- 頭の回転が早くなり、直感が鋭くなる
「ストレス感じてる。これはダメだ。病気になりそう〜」というのではなくて、こういったストレスによって得られる力を活かしていけば、ストレスによる害を無くし、もしかしたら、ストレスによってより大きな力を発揮できる可能性がある。 そのために必要なのは、ストレスに対する考え方を変えることなのです。
ストレスを力に変える考え方
ストレスが「自分の意思に反して 、身に降りかかってくるもの」と思うとしんどいのです。
しかし、そもそもストレスを感じるのは、あなたの大切な何かが脅かされたからです。
そこから逃れることはおそらく簡単なのですが、それでも逃げずに、あなたの価値観や目標を実現しようと努力しているからこそストレスが生まれているわけです。
自分の意思でストレスのあるゾーンで立ち振る舞っているんだし、そこでストレス反応という形で身体が力を貸してくれようとしている。
そう考えると、少し「どんとこい」という気持ちになりませんか。
むしろ、「キタキター」という感じかも。
ストレスを力に変えるためには、
ストレスを感じたら、その元になっている「自分の目標や価値観」を思い出し、それに従って、いま何が自分にできるだろうと考えてみること
です。
ちなみに、ケリー教授はそのほかに、他人を思いやる活動がストレスによる身体的ダメージを癒すということも言ってます。他人に貢献したいという気持ちで分泌されるオキシトシンというホルモン(ストレスを感じることでも分泌される)は、血管の傷を修復させる働きもあるのだとか。これも興味ありますね。
このようなことはTEDでも語られています。ケリー教授の講演、パワフルですね。
おわりに
ストレスを避けることはできません(その気になれば、逃げられると思うが)。
しかし、考え方を変えるだけで、ホルモンの分泌が変わり、ストレスを力に変えることができるかもしれない。
ケリー教授の書きぶりからすると、ストレスが害にならないという例外は少なくないというような控えめな表現になっており、研究はまだまだこれからという感じなのかもしれません。さらに科学的なデータと分析を踏まえて、このような「よりよく生きるヒント」につながる話を教えてもらいたいなと思います。