絵が可愛いくて、ストーリーもわくわくさせてくれて、しかも、読んだ人の行動を考える機会を与えてくれて、とてもいい本だなと思います。
この本は、2016年の小学校低学年向けの課題図書 に指定されている本です。
「きもちぎんこう」というコンセプトが面白い
本当の気持ちと違う行動をしてしまったとき、「ウソ気持ち」が黒コインとして貯まってしまう。それが、気持ちを預かる「きもちぎんこう」。ジャリーン。
おもしろいなあ。
だけど黒コインがいっぱいになると、「いい心」が無くなってしまうんです。
これを聞いた「ゆうた」くんが、やばいと思って、少しずつ行動を変えていくというお話。
「いい心」はみんな持っている
このお話の大前提には、みんな誰しも「いい心」を持っているということがあります。
だけど、次のようなことが邪魔をして、ほんとの気持ちをうまく表現できないだけなんだよねというメッセージがこのお話の地下に脈々と流れています。
- いじわる
- ふしんせつ
- じぶんかって
- よわむし
- いくじなし
その邪魔者に負けないで、本来もっている本当の気持ちを「預ける」ことなく、素直に行動してみることをこの本は応援してくれます。
だけど、本当の気持ちを行動にしていくことは簡単なことではない。それには次の3つが必要になる。
- チャレンジ
- ゆうき
- どりょく
そして、それを振り絞って頑張って、本当の気持ちを行動に変えることができたなら、銀コインがたまるのです。チャリーン。
身体に障害がある「ここみ」ちゃんは、「意気地なし」に邪魔をされて、周りの人にわがままばかり言ってた。きもちぎんこうの黒コインが一杯になると知って、彼女が勇気を出して変わっていく姿にも、感動させられました。
自分の本当の気持ちってどうなんだろう。
自分の内側に焦点を当てるきっかけをこの本は与えてくれるのです。
みんな、わけもわからず、「意気地なし」や「自分勝手」とかに心を乗っ取られて行動してしまっているけれど、本当の自分はどうしたいの?という、一歩内側を考えることができれば、ものすごいことです。逆に、こんな風に自分を見つめることは低学年にはちょっと早いのでは?という気もするので、こういう本を読んで子供たちがどう感じるのか、とても気になります。
まぁとにかく、子供が誰しも持っているいい心を信じるこの本の温かさを、ボクも持たないといけないなと強く思いました。
この本を味わうためのポイント
この本は、身近な生活のなかでの自分の行動や心の動きを重ねやすい本なので、以下の記事にも書いたように、読書感想文を書くのにとても向いている本だと思います。(読書感想文がグッとよくなる7つのコツ )
まずは率直に何を感じたかを聞いてみたいところですが、例えば、以下のようなところを子供たちに投げかけて、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。
- 本当は親切にしたいのに、そうしなかったことってある?なぜだろう?
- 弱い自分に負けて、周りの人に甘えてしまったなあということってある?
- いい心が無くなってしまったらどうなると思う?
- 本を読んで、なんか明日から変えたいと思ったこととかある?
おわりに
自分のいい気持ちを預けてしまって、行動に変えられないのは子供だけではないですよね。
ボクも、ジブンのココロの内側をもっと感じないといけないなと思いました。
そして今日、道端で倒れこんでいるおじいさんが道路の反対側にいて、すでにたくさんの通りがかりの人に囲まれているシーンに出くわしましたが、自分にも何かできることがあるのではないかと、あえてがっつりその輪の中に入ってみました。男手が足りなかったので、おじいさんを安全な場所まで移動させるのに少しは役立ったと思います。
チャリーン。気持ちがスッキリしました。
あなたは、今日、銀色のコインを貯めましたか?