40歳も過ぎると、家も買ったし、車もある。
洋服なんか5年前の写真に写っているのと同じのを今も着ていたりする。
物欲は、すっかり何処かに行ってしまった感がある。
(というか、子供の教育費などで、余裕がないのだが)
そんなボクが、これだけは今買いたいのだと、強い気持ちで嫁さんに語ったのは、次のキャンプに向けた2ルームテントのことだった。
子供の成長と2ルームテントへの熱い思い
我が家は、年に2、3回、キャンプに出かける。
気づけば、3人の子供がすくすくと大きくなっていて、前回のキャンプでは、夜、まったく寝返りが打てない、狭い状態になっていた。
そして、テントの縫い目のシールが劣化して剥がれてきていた。
どう考えても、テントの替えどきだよね。
しかし嫁は言った。
小学校6年生の長女は、来年中学生だから、もう部活とか友達と遊ぶのに忙しくて、というか、パパと一緒にいたくなくなるだろうから、キャンプなんて来なくなるよ。だから今のテントで、もう少し耐えようよと。
確かにそれはわかっていた。
あれほどキャンプ好きだったお隣のファミリーさえも、子供たちが中学に上がると、すっかりキャンプに行かなくなってた。
しかし。しかしだ。
たとえ、今回のキャンプが、長女が家族と過ごす最後のキャンプになったとしても、この1回を、気持ちのいい、憧れの2ルームテントで、最高のキャンプを楽しみたい。
それに、まだ9歳の次女、4歳の長男とキャンプを楽しめる期間は、まだ数年ある。
今のテントで、何年も乗り切ることはできない。
だから、テント買うなら今なんだ!
テントが欲しいんじゃない。今しかできない家族の思い出が欲しいんだ!
2ルームテントが最強の理由
ボクと2ルームテントの出会いは、あるスポーツ屋さん。
スノーピークのランドロックという大きな床のないテントがディスプレイされていた。
大きなテントの中に、いわゆる寝るためのインナーテントを吊り下げることで部屋は、寝室とリビングの2つになる。
このリビングの椅子に腰掛けたとき、これは最高だわという思いがずっと消えなかった。
2ルームテントが最強なのは、雨がふっても、ゆったり過ごせるリビングがあるということ。
そして、リビングに、ほどよいプライベート感が確保され、かつ、寝室でごろごろしたい子供たちと、インナーテントごしに、絶妙な距離感ですごせることだ。
2ルームテント、これなら買える!
それ以来、2ルームテントをウォッチしながら、夏を過ごしてきた。
だけど、なかなか値段が高い。
悩んだあげく、2ルームながら、そこそこ手が届く範囲のお値段のコールマン製の2ルームテントを買うことにした。
以下の別注モデルにした。色がオリジナルなのだ。
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そして、キャンプに出かけた。新テントのお披露目だ。
新しいテントが届いた1週間後、さっそく家族でキャンプに出かけた。
ずぼらなボクは、テントを張ってみる練習とか、いっさいせずに、一発勝負の本番である。
ただ、これがよかった。
親も初めてのテントに戸惑い、考えながら、子供たちと協力して、テントを張った。
今晩は、雨が降るらしいし、風も強そうだ。
風は、あの山から吹いてくるから、リビングはこちらに向けよう。
ペグは、しっかり打とう。
こんな会話をしながら、小学校6年生の長女も、3年生の次女も、4歳の息子も、夢中で、いつもより大きな新しいテントが完成していくのにワクワクしながら、夢中で組み立てたんだ。
(この写真は、明らかにペグにトンカチが当たってないけど、気にしないで)
そして、夕食の支度。空は曇っているけれど、リビングルームがあることが、心の余裕をくれた。
夜は、焚き火も囲んだ。
夜、寝る頃になると、ありえないほどの雨と風(後で聞くと、ものすごい低気圧が通過したのだとか)
テントで寝てると、雨と風の音がすごい。
近くで、よその人のタープが飛ばされる、パキャンという音を聞いた。
パパ、テント飛んでいかないかなあ。
大丈夫。みんなでしっかり、ペグ打ったし。
それに、5人寝てるから、重いし、飛べないよ。
こんな会話をしながら、いつの間にか、寝てしまった。
ちなみに、子供達が寝た後、心配になったボクは、補強のロープも張ったんだけどね。
(それにしても、2ルームテントは風向きを考えた配置が最重要。もしリビングを風上にしてしまってたら最悪だったな)
夜があけると、風は少し収まったけれど、雨はひどくて、こんな水浸しだった。
いくら2ルームテントが、雨に強いからといって、ここまで降らなくてもいいんちゃうかと思いつつ、2ルームだからこそ、キャンセルしなかったんだし、まぁ仕方なし。
朝起きると、食パンがなくなっていた。ゴミもひっくり返っている。
野良猫がリビングルームに侵入し、買い物袋から食パンを持って行ったらしい。
2ルームといいながら、リビングに野良猫が入ってくるのは想定外。油断大敵なことを学んだ。
気を取り直して、食パンだけ買いに行き、ホットサンドを作って、まだ止まない雨の中、リビングルームで食べた。
やっぱり、2ルームテントは最高だよな。
朝食を食べて、しばらくしたら、青空が出てきた。
子供たちよ、この夜を忘れるな。
子供たちよ。
大きくなったとき、
この飛んでいきそうな風の中で、
みんなで並んで、雨音を聞きながら寝た、
あたらしいテントの夜を、
ふと思い出してくれたら
パパはうれしいな。
パパは、たぶん、
棺桶に入ったときに、
思い出すだろう。
みんなで、テント組立てたこと。
嵐の前のキャンプファイアで歌ったこと。
寝るときの、ものすごい雨と風の音。
野良猫が持って行った食パン。
テントのたたみ方が悪くって、最後にうまく袋に入らなくって、袋のチャックがはちきれそうになったけど、みんなで協力してなんとか閉めたこと。
ありがとう。
あたらしい、ボクたちのテントよ。家族よ。