先日の記事「読書感想文のコツ」でも、2014の読書感想文全国コンクールの課題図書として挙げた「マッチ箱日記」は、小学校高学年の部の課題図書になっているものです。
高学年の部の課題図書の中では、ひときわ文字が少ない作品なので、読む時間を削りたい人にはオススメです。
ていうか、ボクが5年生だったら、これ読むのめちゃくちゃ楽やん!と言って、飛びついていたでしょう。
今回はこの本について具体的に紹介します。ネタばれが嫌な方はご注意くださいね。
■どんな本か?
おじいさんは、子供のころ文字が書けなかったので、日記のかわりに思い出の品をマッチ箱に入れていました。
そのマッチ箱をひとつずつ開けながら、そのマッチ箱にまつわる思い出話をひ孫に語っていくというお話です。
とにかく、絵がリアルで優しい。絵が優しい感じって、なにがそうさせるんでしょうね。
しかし、お話は、ファンタジーではなく、割と現実的でリアルなおじいさんの昔話。いろいろと考えさせられます。
■読むポイント
本は絵本のようなものなので、すぐに読めてしまいます。
しかし、その一つ一つのエピソードが濃い。
読書感想文の課題図書としては、このリアルな短いエピソードから、どれだけのことを感じられたかという勝負になります。
- 自分がもしおじいさんの立場だったら、何を考え、どう行動していますか?
- 今の自分の生活と比べてみて、当時の暮らしや出来事をどう思いますか?
- 今の自分の暮らしをどう思いますか?
- どうしても気になってしまったことはないですか?
- なにかやりたくなったことはないですか?
ボクが気になったことや感じたことを少し書いておきます。
・貧しいとはどういうことか。
今の子供たちは平気で食べ物も残すし、欲しいものは手に入ってしまいます。
おじいさんの子どものころのイタリアの貧しい日々を頭の中でイメージすると、豊かな暮らしが当たり前になっている現状のありがたさを改めて考えさせられます。
・未知への挑戦
長い船旅を経て、おじいさんは子供のころ、家族とともにお父さんがいるアメリカへイタリアから渡りました。
船の長旅は、おそらく命がけでしょう。
アメリカには何かがある。アメリカに行けばなんとかなるという希望があったのでしょうし、お父さんに会いたいという思いもあったのでしょう。
子供としては、親についていくしか選択肢がなかったのかもしれません。
不安に負けずに前に進んでいくこの勇気。
彼に負けないくらい、自分は未知の世界に向けて足を踏み出せる勇気を持てているだろうか。
・働くこと×学ぶこと
家族で協力して仕事をして暮らしていく。
働くのは大人だけではない。
それでは生活がなりたたないのです。
子供が働く時間を削って、学校にいくのかどうかを家族で考える。
こういう時代があったこと、今もどこかにあるかもしれないことに対して、この本を読んだ現代の子供たちは何を思うだろうか。
・差別
イタリアからの移民だということで、石を投げつけられて歯が折れたというエピソードは、「差別」という概念を子供たちに突き付けることになるでしょう。
今でいうと、「いじめ」みたいなものかもしれません。
人間て残酷だということもあるし、そういう状況をやはり家族の団結で乗り切っていったんだなあと思う。
そして、今ではこんなに穏やかに暮らしている姿をみると、人間我慢が必要だとも思う。
・ひとつ気になること
個人的には、みんながアメリカに移住するとき、「自分のことは大丈夫だから」と言ってイタリアに残ったおばあさんのことが気になります。
そこには大きな家族の決断とおばあさんの大いなる愛や潔さがあったに違いありません。
ここだけでもひとつの物語が書けそうです。
そういうエピソードがさらさらとたくさん詰まっている。そんな本です。
■まとめ
ということで、取り留めもなく気になったところをピックアップしましたが、現実社会に存在するいろいろなテーマが含まれていて、子供たちの視界を拡げる1冊であることは間違いないでしょう。
読書感想文としては、気になったことを絞って、自分の世界とシンクロさせながら深堀りしていくと、書きやすいかもしれません。
今日は、いじょうでーす。