先日、アメリカが地球温暖化対策を積極的に進める方針に転換したというニュースがあった。
オープンな集まりの中で主導権☆リーダーシップをとるための3つの原則 - Voyage to the Future
しかし、ピンチである。
高い削減目標を掲げる前提としては、アメリカで天然ガス(シェールガス)が採掘できるようになり、排出抑制にめどがついたということだったが、その矢先に、それを否定するような発表がなされたのだ。
☑天然ガスのCO2排出削減効果は低いらしい
天然ガスのCO2排出削減効果は低いという研究成果がカリフォルニア大学アーバイン校、スタンフォード大学、非営利団体ニアゼロにより発表された。
最新の研究によると、発電のためのエネルギーを石炭から天然ガスへ転換してもアメリカの温室効果ガス排出量を大きく減少させることはできず、むしろわずかに増加させるおそれもある。その原因のひとつは、再生可能な無炭素エネルギーの使用の妨げになるためだという。
ニュース - 環境 - 天然ガス、CO2排出量の削減効果低い - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト(ナショジオ)
記事を見てみると、少しわかりにくいが主旨を読み解くと次のようなものである。
- 天然ガスによる発電で発生するCO2は石炭の半分(エネルギー効率が高いということだと思う)
- アメリカの温室効果ガスの1/3が発電関連であり、発電のうち39%は石炭。だからこの石炭がすべて天然ガスに置き換わるとしたら、6.5%(1/3×39%×1/2=6.5%)くらいは削減できる。もう少し削減できるかもしれない。
- しかし、安価な天然ガスが豊富に供給できる状態にあれば、本来CO2を排出しない再生エネルギー(原子力含む)の普及が妨げられるし、また、エネルギー消費量が安易に増え続けるかもしれないので、CO2排出量は削減されず、かえって増えていくだろう。
- 天然ガスはつなぎの抑制策にすぎないのだけれど、そこに甘えていたら、ゼロエミッションのものが勝手に生まれてくる話にはならない。
どういうことか考えてみたが、結局、いくら省エネが進んだとしても、エネルギー需要が増え続けることを考えると、たとえCO2排出量が半分になるといっても、天然ガスを使っている以上、いつか現状の排出量を超えていきますよという話だと理解した。逆に、排出量が低いんでしょ?ということで、どんどん使ってしまうという懸念もある。
カロリー半分のポテトチップスが安く売られていたから、食べる習慣がついてしまって、大きくなるにしたがって食べる量も増え、結局2倍食べてしまって、摂取するカロリーは結局減らなかった みたいな話だ。
まあ、そりゃそうかなと思う。
結局、人々の欲求が増え続け、エネルギーの需要が増え続ける限り、それに対応するものはゼロエミッションな技術でなければ、なかなか減るところまではいかないということだ。
☑天然ガスの生産段階で生じるメタンガスの存在
ちなみに、天然ガスはその生産過程でCO2よりも温室効果の高いメタンガスが排出されるということが知られており、これは今の温室効果ガス排出の計算にカウントされていないとすれば、それはダメだと思う。
天然ガスが温室効果ガス排出量に与える影響に関する近年発表された多くの研究では、その生産過程における メタン漏出に焦点が当てられている。メタンは天然ガスの主成分で、それ自体強力な温室効果ガスだ。 ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト(ナショジオ)
アメリカは、この発表を受けても、削減目標を高く設定してくるでしょうかねー。