先日出会った「赤毛のアンの言葉」をきっかけに、赤毛のアンに関する本を読んでます。今回は、茂木健一郎さんの「「赤毛のアン」が教えてくれた大切なこと」から、特に、子供たちに伝えたいと感じた「生きるために大切な8つのこと」をまとめてみました。というか、大人になったボクにとっても、かなりグッときました。
1.本を読むこと
アンは、孤児院で育ち、贅沢できない暮らしの中でも、たくましい想像力によっていろいろな楽しみを見つけていたようです。孤児院で多くの本を読んだことが、想像力の源でした。筆者は本を読む大切さについて、以下のように語っています。
本は単に知識を積み重ねる手段として読むものではない。自分一人の人生では一生かかっても経験しきれないことを、本を読むことによって補うことができる、そういうものなんだ。
これは響きました。ボクはビジネス書が大好きで、読書とは知識や考え方に触れる手段と考えていた節があります。物語や小説はあまり読んでこなかった理由はそこにあると思います。
今回学んだことは、物語には、筆者の経験が色濃く反映されているので、たとえフィクションであったとしても、自分以外の人の経験に触れるということを意味し、人生経験を厚くすることを助けてくれるのだということです。
2.夢と現実のバランス
夢だけでは生きていけないかもしれない。
だけど、現実だけでも生きていくことは難しい。人生は、この両方をバランスよく体験していくことが一番だと思うんだ。
本を読んだりして、将来こうなりたいと夢見たり、頭の中でいろいろと想像を膨らませる一方で、現実はなかなか厳しくて、思うようにならないことも多いものです。
子供から大人になるにつれて、生活できるようにお金を稼がないといけないとか、才能がそんなにないかもしれないとか、現実を考えることによる制約が支配的になっていきますが、だからといって、夢が全くなくなってしまったら人は生きてはいけません。
みんな、その辺のバランスを考えながら生きているんですよね。
3.世の中にはコントロールできないことがある
世の中には自分ではコントロールできないこともたくさんある。
(略)
アンのようにどんな環境でも喜びの種を見出すことができる技を身につけること。それがやはり将来的に伸びていく人に一番必要なことだと僕は思うんだ。
「努力が大切」っていうんだけれど、それだけではどうしようもないことが世の中にはあります。このことって少し切ないことなので、あまりはっきりと教えてくれる人は少ないのですよね。学校の先生も、人は皆平等で能力も大差はない。「為せば成る」的なきれいなことを語りがちなのかもしれません。
だけど、現実はやはり違っています。努力に関わらず、与えられた環境や出会いなど、さまざまなことが人生を決定づけることがあるのです。
そういう中で、自分がコントロールできることに前向きに注力できることが大切なんですね。
4.人はすれ違いを起こすもの
本当に世の中にはいろんな人がいて、いろんな考え方をするものだ。
(略)
世界中の人が自分を理解してくれると思うのは間違いなのだ。
アンは気が強いところもあるので、ケンカのシーンもあります。
世の中には全く考え方が違う人もたくさんいますから、理解されなくても、すれ違いを起こしても当たり前。分かり合えたら奇跡でうれしい!くらいのスタンスでいいのでしょうね。
あまり閉ざされた世界で、周りから理解されないというのは辛いものがあります。イジメとかにつながってしまいます。
世界には分かり合える人が必ずいるということも信じて、開かれた世界を持つことが大事なんですね。学校以外の友達がいる習い事とかも大事ですよね。
5.あきらめないこと
理想と現実は違う。世の中にはコントロールできないことがたくさんある。世界中の人が自分を理解してくれるわけでもない。
だけど、努力をしても無駄だというわけではありません。あきらめてはダメなんです。
ちょっとくらい、うまくいかなかったからって、あきらめちゃーダメなんです。
努力しても、ちっとも夢がかないそうになかったり、いいことがなかったりすれば、誰だってやさぐれたくなるかもしれない。けれども、どんなときも自分の生き方が崩れない人こそが本当に素敵な人で、いつかは必ず幸運を手にすることができる人なんだ。
すばらしい想像力で、「こんなことができたら、どんなにいいだろう」と、思いをめぐらし、受け身にならずに自ら行動するアンでさえも、努力がすぐに実ったわけではありませんでした。しかし、あきらめずに、腐らずに、ぶれずに生きていく姿勢で夢をかなえていくのです。
茂木さんは、そのような力をセレンディピティという言葉で表現していますね。
あきらめることがなぜよくないか?
茂木さんは以下のように書いています。
自分が納得できるまで努力をしなかった経験は、「どうして、あのとき精一杯勉強しなかったのだろう」という後悔となって、その人の中にいつまでも残るからだ。
結果はある意味どうでもいい。「一生懸命やって勝つことの次にいいことは、一生懸命やって負けること」というあのアンの言葉とも通じるところがありますね。
6.欠点と長所は表裏一体
欠点が長所に変わるときが訪れるかもしれないということを覚えておくと、少しは楽になれるんじゃないか
アンの赤毛は、子供の頃はアンにとってコンプレックスだったが、大人になったら素敵な赤毛になって、チャームポイントになったらしいです。
本人が気になるものは気になるよね。だけどいつかそれが長所に変わるかもよ。という茂木さんの語り口がとても優しいと感じました。
7.嫉妬は意味がない
だって自分の問題を他人のせいにしているんだから。嫉妬は相手に対してもフェアじゃないし、する自分にとっても全く意味のない感情だ。
アンが他人の素晴らしいところを素直に褒めて、嫉妬をせず、自分のやれることをやっていったという態度は、子供達のお手本になりそうです。
嫉妬は「自分の問題を他人のせいにしている」という表現は説得力がありますね。
8.有名人にならなくてもいい
本当に素敵な人というのは、周りにいる人たちに感化を与えることができる人物だと思う。それは、周りにいる人たちを、喜ばせたり、感動させたり、幸せな気分にさせたりといった、いい影響を与えることができる生き方をしている人のことだ。
アンは、普通の女の子ですが、周りの人を幸せな気分にすることができました。
世の中で、有名人になったり、社会的な成功者となる人は、ほんの一握りです。
実力はもちろん、運や出会いが伴わなければ、そうならないわけです。いわゆるコントロールしきれない世界がそこにある。
そこをめざしてもいいけれども、こだわる必要はなくて、とにかく素敵に生きることが大切だよということ。
周りの人を幸せにできたら、それはめちゃくちゃ素敵なことなんですよね。
それを目標に生きていけばいいじゃんというこの言葉は、視界が時々ぼんやりすることもあるボクにとって、度数ぴったりメガネになりそうな予感です。
一読のすすめ
この本は、小学校高学年から中学生、高校生などの子供たちを主な読み手と想定して書かれた、茂木健一論氏の人生の授業のような内容になっています。
親として、子供たちに伝えておきたい大切なことは、きれいごとだけではないこともあるし、言葉で結論だけを語ってもなかなか伝えるのがなかなか難しいものです。
「赤毛のアン」という物語の代表シーンを振り返りながら、解りやすい言葉で生きるための大切なことが優しくまとめられたこの本は、子供達にとってとても良い本になるのではないでしょうか。
他にもたくさんの教えがまとめられていますので、ぜひ、親子で読んでみてください。
kindleもありますが、子供も読むならば紙の本がよいかもしれませんね。
この記事の後、読みましたよ!こちらもぜひチェックください。
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