Googleの従業員が6000人から6万人と一桁増えていく中でGoogleの人事システムを設計した責任者ラズロ・ボックの著書「WORK RULES」。
斜め読みですが、特に気になったところを挙げておきます。
ミッションはシンプル
「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というのがGoogleのミッションだ。
範囲は広いが、スローガン的にはならず、明確でイメージしやすいシンプルなものとなっている。
自動運転の車の開発とかは、この枠組みの外なのだろか。。
透明性を重視し、発言権を与える
あらゆる情報をチーム内で共有できるとしており、社員も会社の未来にコミットできる環境や意識付けが図られている。
ボクの会社では、情報はやはり経営者や管理者しか知らないことも多い。
そこを全てオープンにされることを想像してみると、とてもフラットで(下々のものという感じにはならず)、信頼されている気持ちになるのは事実だ。
発言権そのものは、日本の会社にもあるのかもしれないが、なかなか経営方針などについて声高にモノを言おうと思えないのはなぜか。
聞き入れられないような気がしてしまうからだろう。
いい人材を採用することに時間をかけているからこそ、社員を強く信頼できるのだろうし、オープンな文化が自由闊達な発言を促進するのだろう。
これは、大きい組織では難しくなるが、小さい組織やチーム、家族では真似できるものかもしれない。
採用はマネージャに任せない
自分のチームをマネージャが自分で選ぶと、採用基準を緩める可能性があるため、採用はマネージャに任せないらしい。
後で出てくるように、感情などで選ばないためということもあるのだろう。
確かに、自分が採用したという人材が増えれば、そのマネージャーにとっては子分が増えるようなものだから、多少の人材の質よりも、子分を増やすことを優先したくなるかもしれない。
それは会社の利益と反するのだ。
採用活動は全社員の仕事の一部
だから、社員全員を巻き込んだ採用活動を展開しており、多くの社員が一人の候補者の面接を行いながら、採用にふさわしいかどうかを評価していくとのことだ。
採用プロセスについては、以下のGoogleのページが公式のものだ。
評価するポイントは、「リーダーシップ」「職務に関連した知識」「考え方」「Googleらしさ」 の4つとのこと。
特にGoogleらしさは、以下のとおりであり、とても興味深い。クリエイティブであるための条件という感じだ。
あいまいさを許容でき、積極的に行動を起こす傾向にあり、協調性のある人物であること
直感に頼らない
グーグルで成功する確率が高い人を見つけ出せる質問を、独自の社内ツールで探せるし、その答えを分析すれば、採用に値するかどうかを判断できるという。
これは、さすがGoogleという感じ。
直感ではなく、データに基づく判断も活用しているということだ。
ただ、採用活動には本当に時間をかけて、多くの面接を行って意見が偏るのを避け、本当に優秀だと感じる人を採用しているらしい。
毎年5000人くらいずつ社員を増やしているが、それは志願者の0.25%なんだとか。ということは、倍率400倍であり、毎年200万人が志願しているということ!?
報酬は不公平
真に公平な報酬とは、その人の貢献と報酬が釣り合っていること。
ただし、その報酬の意味とか基準を管理者が社員に説明できることが必要ということ。
日本の古き良き会社では、報酬に大きく差をつけるのは難しい気がするが、それは成果や貢献度の評価を客観的に行い、説明しきることが難しいからかもしれない。
チームで成果を奪い合うようなことが起きれば、全体としてはマイナスになるということもありうる。
そんな懸念を払拭してGoogleがこれをやってのけれる理由はなんだろうか。
やはり、社員がものすごく、Google的だからか・・
同僚に感謝を伝える社内ネットワーク
gThanksという、同僚に感謝を伝えることができるシステムがあるらしい。
これは、いいですよね。
ファインプレーだね!とか、同僚同士で称え合うためツールが、ボクの会社にも、あっていいと思うんですよね。
失敗をも賞賛
失敗から学んだことをシェアすることでも評価される。
これが、リスクをとってチャレンジする文化を支えているんですね。
Googleが成長を加速させられる理由 - Voyage to the Future
うまくやっているときは何も言わないけれど、失敗したときには怒られるというのでは、最悪です。だったら、何もやらないのが一番ということになってしまう。
まとめ
人事システムというのは、結局、文化という基盤の影響が大きく、
また、それぞれの仕組みやルールの細かいバランスで決まってくる話だろうから、
ここに挙げた話を個別に採用しても、なんともならないのだと思う。
採用にだけめちゃくちゃこだわっても、
面白い会社じゃなければ入りたい人はいなくなってしまうだけだろう。
しかし、これからの世の中を生き残るために、
古い仕組みでは、新しいものを生み出せないのだから、
組織が活力を得ていくための、ワークルールズを、
今一度、丁寧に構築していくことは価値があると思う。