前回の記事「ありのままの自分を認めて、やれることやろう」に続いて、ベストセラー「嫌われる勇気」を教科書とした、アドラーの教えについての整理(アドラー特集)の続きです。
ありのままの自分を認めることが大切といいますが、
じゃあ、大きな目標を持って、
努力を続けていくことは
必要ないのでしょうか?
「嫌われる勇気」で言われていることは、先のことなんて予想できるものでもないし、
その目標のためだけに今を犠牲にするという人生は寂しいので、
今やれること、今ここに集中しようよ
というものです。
ボクの人生を振り返ってみた
ボクの親は、ボクに対してそんなに「あーしろ、こうしろ」
というタイプではなかった。
それでも、テレビとかで
なんとなく子供の頃から
オリンピック選手はすごいとか、
サッカー選手はかっこいいとか、
ノーベル賞とった人はえらいとか、
成功者の話をいろいろと見たり聞いたりする中で、いわゆる有名になるようなことに、憧れを持って育ってきました。
だんだんと、スポーツ選手として有名になるレベルにはほど遠いことを感じていく中で、
じゃあ、勉強頑張って、いい大学入って勉強して社会に出れば、なんか世の中が驚いてくれるようなことをやれるんじゃないかと思ったりして、
いい大学に入ることを目標にして、中学、高校は勉強を中心に過ごしたように思う。
もちろん、部活したり、いろいろ思い出もあるけど、どこかで通過点のように毎日を過ごしてきたかもしれない、という思いは残ってます。
その反動もあってか、大学では好きなように過ごしたし、興味のない勉強はほぼしなかったし、旅もしたし、
実験装置を作って、まだ世の中にないデータを取ったりして、パソコンでデータを整理なんかして、考えて、まあまあ充実した日々を送ったと感じる。
ただ、それでも、
将来役に立つ知識を身につけたい、何かを探したいという、将来の準備的な思考回路はどこかにあった。
そして、会社に入り、がむしゃらに働いてきて、40歳という年齢になった。
今じゃ、世の中から評価されて、名声を得るというようなことは難しいし、そもそもそんな人はほんの一握りだということを、ほぼほぼ理解できている。
そして、将来のための準備というときの「将来」って、いったいいつなのよというのが明らかに疑問に思える歳になった。
子供の頃からの呪縛というか、それが夢を持って生きるということなのかもしれないけれど、
だいぶ時間がかかったけれど、その考えから解き放たれつつあり、
やっと、このアドラーの考え方、
今やれることを精一杯やればいいし、
今を楽しむことが一番大事なんだ
ということがわかってきたのだと思います。
普通であることの勇気
「嫌われる勇気」には、
「普通であることの勇気」という言葉が出てきます。
名声を得ることは生きる目的ではないし、自分のやったことをどう評価するかは他人の基準で他人が決めることだから、どうしようもない。
「成功」する人なんて限られているのだから、それに引っ張られて生きていたら、ほとんどの人の人生が、気まぐれな他人基準にぐらぐらにされてしまう。
普通でいい。
そう思えることは簡単ではなく、勇気がいることなのです。
だけど、
ありのままの自分でいい。
「普通であることは無能ではない」のです。
最近目にしたハリウッド映画に進出した紀里谷和明監督も、インタビューで、まさにこのことを熱く語っていて、あ、アドラーの考え方だ!と、ビックリしました。
成功か失敗かは他人の基準で決まるものなのです。
(【新連載】紀里谷和明監督インタビュー「成功・失敗は他者が決めた基準だ」)
目標を持ってもよいとボクは思う
ただ、大人になってからもいろいろ選択肢を持ちつつ、遠回りしながら、今の心境に至れたのは、これまでのボクの生き方全てがそうさせてくれたのだと思うから、全く後悔はないです。
ボクの場合、ある程度の未来への意識や目標がなければ、これまでの人生のその時々に、真剣になれる何かを持てただろうかというと、わからないですし、持てたかもしれないけど、ぼーっとしてたかもしれない。
そして、強い目標を持って日々努力して、本当に成功してしまった一部の人にとっては、その苦しかった毎日は人生の準備期間ではなく、最高に充実したプロセスになるのでしょう。
だから「嫌われる勇気」にあるように、ただただ毎日を真剣に生きてきたら、結果として成功する というケースばかりではないのだと思います。
大切なのは、
今を真剣に丁寧に生きようと思うことであり、そのための手段としては、適度に目標も意識することも有効になる。
だけど、未来や目標を意識しすぎるあまり、今を準備期間のように使ってしまったらもったいない。
ましては、有名人になりたいと、そこに拘りすぎて、周りの基準ばかりにとわられて、自分のやりたいことを見失ってしまっては元も子もない。
そういう、「今・自分」と「未来・世界」における、意識の微妙なバランスが大切なのだと思います。
次回に続きます。
注 :この記事は、ボクの理解できた範囲でまとめたものですので、気になった方は、ぜひ原著を読んでみてください。