前回の記事「人生とはゴールに早く到達するゲームじゃない」に続いて、ベストセラー「嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え」を教科書とした、アドラーの教えについての整理(アドラー特集)の続きです。
アドラーの教えに、すべての対人関係を「横の関係」とすべしというものがあります。
縦の関係と横の関係
縦の関係とは、上下関係があるということ。
目上の人や年長者を敬う儒教的な文化が根強い日本では、少し抵抗があるかもしれませんが、他人と競わず、仲間としての貢献を考えていくことで、幸せを得ていくためには、すべての対人関係に上下の関係を持ち込まず、対等な横の関係を築くべしということです。
これは、自分の課題と他者の課題をちゃんと区別して、他者の課題には踏み込まないというアドラーの教えともつながっている話です。
他者の問題に、勝手に踏み込んでいくことは、どちらかというと、出すぎた話であり、対等ではなく、そこには、微妙に、上から目線ということがあるかもしれません。
褒めても叱ってもいけない
子供を褒めたり叱ったりすることも、上下関係になるそうです。
子供は褒めて育てよということはよく聞きますが、アドラーは真っ向から否定しています。
褒めることは、相手を操作していることになりえます。
褒められた瞬間に、上下関係が生まれ、その人は自分が下にいるんだという気持ちになるのです。
感謝や尊敬、喜びや悲しみを伝える
横の関係として、わかりやすいのは、同級生や会社の同期との関係です。
同級生を褒めたり叱ったりということはやりませんよね。
「おまえ、すげえなぁ」とか、「ありがとう」とか、感謝や尊敬を伝えますよね。
あるいは、
「うれしいわぁ」とか「正直、さびしいわ」とか、自分の気持ちを伝えるくらいで、褒めたり叱るというのとはやっぱり違う。
子供に対しては介入ではなく援助を
子供に対しても同じです。
横の関係でいるべきということです。
というか、対人関係は、「この人とだけは横」というのはありえないそうです。
一人でも「横」ならば、みんな「横」だし、
一人でも「縦」ならば、みんな「縦」。
だから、子供の課題に勝手に踏み込んで、介入するのではなく、自分の力で解決することを援助していくことしかできないのです。
勇気付けるとか、そういうことです。
偉い人に対しても意識は対等であれ
逆に、偉い人とも、上下関係の下に入ることなく、意識の上では、対等であれ とのことです。
もちろん、態度は丁重で、敬意を払うべきなのでしょうが、主張すべきことはしっかりと主張すべきだし、そうしないのは、むしろ無責任というのが、アドラーの考え方になります。
まあ、相手が完全に上下関係を持ち込む人で、そんな対等な対応に対して生意気だというような基準を持っていることがわかっているならば、わざわざそんなアホと戦うようなことをする必要はないでしょうが。
次回「他人の課題に踏み込むな 」に続きます。
注 :この記事は、ボクの理解できた範囲でまとめたものですので、気になった方は、ぜひ原著を読んでみてください。