シャラポワがメルドニウムによってドーピング陽性の判定
出場停止だけでなくスポンサーを失った
シャラポワは、年間約3000万ドルを企業などとのスポンサー契約で稼いでいたようですが、それを一瞬で失う見込みが高いようです。
ナイキ、タグホイヤー、ポルシェ、エビアンなど、名だたる企業がシャラポワとの距離を置くようなことを発表しているようです。
1年で30億円稼ぐ人の気持ちはわからないですが、彼女が記者会見で「こんな形で終えたくない」と語っているように、もはやお金はいらないのかもしれません。
そういう意味では、出場停止処分が長くなることが、一番堪えるでしょうね。
なぜメルドニウムという薬を服用したのか
そんなリスクをわかりつつ、なぜメルドニウムを10年も服用してきたのか。
本当に医療的な使用であったか、意図的にパフォーマンスを上げるためのものだったかなんて、そういう医師とのやりとりが文章で残っていたりしない限り、本人以外わからないです。
体のコンディションを整えることと、パフォーマンスを高めることの間に、明確な線引きは難しい。
だけど、これからは服用しないと言えるならば、医療的に必要なものではなかったことを暗に言っていることになります。
お酒を飲む前にウコンを飲むというくらいの軽い感じだったのか?
いやいや、やはりアスリートは相当、口に入れる薬には気を使うはず。
だから、調べた上で大丈夫という自信を持ちつつ、調子を高めるのに役立つメルドニウムを永年服用していたのでしょう。
そもそも禁止物質とはどんなものか?
シャラポワは、今年に入って禁止物質にメルドニウムが加えられたことを、なぜ見過ごしたのか?
ドーピング検査でチェックする禁止物質とはどのようなもので、それらがどういう形で公表されているかを調べてみました。
JADA(Japan Anti Doping Association)のホームページに、WADAが定める世界アンチ・ドーピング規定としての禁止事項リストが載せられており、2015年版には和訳もあります。
これによると、以下の分類に分けて、たくさんの物質が挙げられています。
S0:無承認物質
S1:蛋白同化薬
S2:ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質
S3:ベータ 作用薬
S4:ホルモン調整薬および代謝調整薬
S5:利尿薬および隠蔽薬
S6:興奮薬
S7:麻薬
S8:カンナビノイド
S9:糖質コルチコイド
まず、S0で無承認物質というものがあり、医薬品としてどこの国でも承認されてない謎の物質を服用してはダメというのがあります。
つまり、医薬品などで摂取してしまう可能性があるけれど、これらはパフォーマンスを高めてしまうものだからダメというものが、禁止物質として規定されているのです。まぁ、麻薬とかは論外かもしれないですが。
それからS5など、利尿作用によって、体内から摂取した禁止物質を早く排出しようという隠蔽に使えるようなものも禁止されています。
S6の興奮薬は、以下のように書かれてます。挙げられた物質はあくまで、例に過ぎないという書き方ですから、何が良くて何が悪いのか、判断が難しいです。
すべての興奮薬(関連するすべての光学異性体(例えば、d 体および l 体)を含む)は禁止される。 興奮薬には以下の物質が含まれる。
その他、競技によってはアルコールもダメみたいです。しかし空手は2015年から、やっぱりアルコールOKに見直されていたり、ちょっと面白いですね。
問題の2016年版はこちらです。
そして、2016年の変更箇所というのがちゃんとまとめて、ホームページで公表されています。それがこちら。
この変更箇所は、2ページからなるシンプルな文書です。確かにここに、メルドニウムが禁止物質S4に加えられたと明記されている。
変更はその他数点だけであり、明確に書かれているし、メルドニウムはもともと、2015年にもモニター対象と位置付けられていた(怪しまれていた?)けれど、2016年の規定から正式に禁止物質に加えられたもののようです。
アスリートは風邪薬にも気を使う
風邪薬のコルゲンコーワとかも、ダメみたいです。
アスリートならこのあたりの情報チェックは、超重要で、相当気をつけているはずなのです。
シャラポワは明らかにチェックを怠った
ということで、禁止物質を調べてみてわかったのは、メルドニウムをもう服用すべきでないことは、単純なチェックで気付けるものだったということです。
これに気づかなかったのは、シャラポワの奢りなのか、怠慢なのか、テニス以外で忙しくてアスリート魂を失ってしまったのか、雇っていたトレーナーが甘かったのか、いずれかでしょう。
ここまで影響がおおきいことは、やはり人任せにせず、自分でチェックすることが大切だということを改めて感じました。
まさに、シャラポワ本人が語っていた「自己責任」とは、このことだと思います。
おわりに
基本的なところでつまづかないように注意するのはもちろんですが、あれほどの一流選手は、やはり正々堂々とプレーしてほしいですね。
それともみんなうまくやっていて、たまたまヘマをこいただけだったりして。こういう想像を生んでしまうことが残念なことですね。
とにかく復活を願っています。