大西暢夫さんの「ここで土になる」は、 2016年の小学校高学年(5、6年生)向けの課題図書です。
写真を使った絵本という感じで、すぐ読めるので、まずは一度読んでみてほしい本です。
ぐっときたところ、気になったところを挙げます。
大銀杏やお墓を動かそうとする人間の身勝手さ
古くからその地に根付いている大銀杏やお墓を移動してまで、やらなければならないことってなんなんだろう。
そこに住んでいると危険だというならば仕方がない一面もあるが、ダムをつくるってのは、どういう理由なんだろう。
下流が氾濫して大変なの?
水不足に備えるため?
で、結局、ダムの建設が中止になったって、どういうこと?
みんないなくなってしまったのは、なんだったの?
人間がやることの意味について、考えるきっかけをくれる本です。
おじいさんとおばあさんの笑顔
川辺川ダム建設に振り回されてきた五木村の歴史のなかにあって、大銀杏を守るときめて、引っ越さなかったおじいさんとおばあさん。
笑顔が印象的だ。
利害関係みたいな話を超越していて、自分はこう生きるんだという強さと優しさを感じる。そしてその笑顔からは、幸せがにじみ出ている。
生きるってどういうことなんだ?
人はいつか死ぬものだ。
どうせ死ぬけれど、じゃあ今日をどう生きるか?
死んだ後に何か残せるのかなあ。
おじいさんとおばあさんは、この地で死んで、土になって、輝く大銀杏の一部になれたら、なんていう思いがあるのかもしれない。
まとめ
テーマが重いので、それっぽいことを書こうとすると、軽く感じてしまう。
読書感想文としては、地に足をつけて、じっくりと考えたことを、しっかりと書いていく覚悟が必要だろう。