ぐもじんです。
以前から気になっていた、アフターデジタルという本の読書メモです。
アフターデジタルという本が楽しみ - Voyage of Life
かなり事例が盛りだくさんなこの本の中から、特に気になったところを引用しつつ、感じたことをまとめました。
オフラインは存在しなくなる
IoTやカメラをはじめとする様々なセンサーが実世界の接点に置かれると、人の購買行動だけでなく、あらゆる行動がオンラインデータ化します。つまり、オフラインはもう存在しなくなるとさえ言えるでしょう。
すべての行動がオンラインデータ化される。
そんなまさかとは思ったが、考えてみると、確かにその状態に近くなってきている。
買い物は、クレジットカードやQRコード決済がほとんど。しかも、最近はショッピングに出かけるより、Amazonか楽天での買い物が増えている。
電車に乗るときはICカードをタッチし、高速道路もECTカード。
腕には常にフィットネスリストバンドFITBITを付け、風呂上がりにはスマート体重計に乗る。
ジョギングのときは、もちろんGPSで、どこをどんなスピードで走ったかを記録している。
何をいつ購入して支払えているかはもちろん、いつどんな深さで寝て、起きて、何歩歩いて、どこを車で走って、どこを電車に乗ってるのか。どんな心拍数を刻んで、体重や体脂肪、筋肉量がどう変化しているのか。
まさに、筒抜けである。
この本にある中国の先行例のような、それぞれのデジタルデータを横断的に評価して活用するというプラットフォーム的なものがないだけで、 自分の行動のほとんどが、データとしてキャッチされ、勝手に送信されているのだ。
行動の見える化がサービスや国民性を劇的に変えてしまう
信用スコアが浸透してから中国人のマナーは格段に上がったように感じられます。
信用スコアなるものが、あらゆる行動の評価により導かれ、それにより、特典や処遇が決まってくるという仕組みが浸透した中国では、人としてのマナーが格段によくなったらしい。
なんか、ゲンキンすぎるんじゃない?というのが正直な感想だが、行動のデータ化とは、国民性や文化さえも変えていく力をもつのだと驚かされた。
誰も見ていないとしても、ちゃんとやろう。人には優しくするものだ。というような道徳観で動く人たちにどこまで響くのかはわからないが、評価が上がるからちゃんとしておこうというモチベーションに、善意のこころが乗っ取られないようにしないといけない。
正直者がバカをみない世の中へ
最も満足度を高めるのは「安心して素早く目的地に行けること」です。そこに直接的に関わるポイントのみデータを取得し、評価に反映させる仕組みを作っているのです。
逆に、正直者がバカを見ない世界が広がる可能性もある。
タクシードライバーが、データによって格付けされ、その格付けによって、全く給料が変わってくるらしい。ここで重要とされるデータは、お客さんの満足度に直結するものにしてあるという。待たせた時間や急ブレーキの少なさなど、適切な評価軸を置いたセンシングにより、お客さんにとって最高のサービスが生まれるのだ。
誠実にちゃんとやってた人には、自分の時代が来たぞ!という喜ばしいことなのかもしれない。
すべてが可視化されるので、頑張りが分かりやすくスコアで確認でき、何かしらの報酬ももらえます。デジタルがリアルを包み込んでいることを前提に考えるのが当たり前になると、すべてはデジタル世界からリアル世界を眺めるようなものになっていくのではないでしょうか。
そもそも、人による評価は、ものすごくあいまいなものだ。
頑張りが誰にも認められないことも多いし、フェアでないことも多い。
しかし、デジタルデータによる評価は嘘をつかない。
もし、複雑な評価システムであれば、その裏をつくような行動が生まれ、おかしくなってしまうのだろうが、評価軸さえマトモであれば、正直者がバカを見ない世の中が実現するのだ。
何か行動を起こすごとに、デジタルデータとして、ポイントが見える形でたまっていくとしたら、確かに、筆者のいう、ロールプレイングゲームのような人生になるのだろう。ゲーム感覚で、楽しく生きていける気もする。
善意や倫理観というモチベーションを損なうことなく、むしろ、なんかちゃんとやることって気持ちいいのだと気づくことができれば、世の中は、いい感じになっていくかもしれない。
プラットフォーマーが君臨する
「データのやり取り」が新たなインフラとなり、最もお金を生み出しやすい「購買データ」をより多く持ち、それを顧客 IDとつなげられているプラットフォーマーがトップに君臨する
たくさんのデジタルデータを、横断的に有するプラットフォーマーが強くなる時代になるというのは、確かにそう感じる。
Amazonなどがこれに相当するのだろう。しかし、そんな個人情報がインフラになるという感覚は、よくわからない。
とにかく、その人のことを知り尽くした存在が窓口となり、適切なものを適切なタイミングで提案できるから、モノやサービスの提供者は、そこにコバンザメのように寄り添いたくなるのだ。
データや評価をコンピュータや人工知能などに任せ、人というリソースを、リアルな人との接触に集中させることでプラットフォームの裾野を広げるという中国の保険会社の話も書いてあり、とても面白いなと思った。
新しい2つのビジネス原理
(1)高頻度接点による行動データとエクスペリエンス品質のループを回すこと。 (2)ターゲットだけでなく、最適なタイミングで、最適なコンテンツを、最適なコミュニケーション形態で提供すること。
アフターデジタル時代のビジネス原理は、この2つだそうだ。
つまり、お客さんが、何を考え、いつ何を欲しているのかを知り尽くすことで、最適なソリューションを提案すること。
まぁ、自分のことをよくわかってくれているお抱えの、しかもプッシュ型のコンシェルジュを一人一人が手にすることができるということだろうか。
まとめ
とにかく、中国の進化など、予想以上に世の中の仕組みというか、ビジネスモデルが変わってきてしまっていることに驚いた。ちょっと発想を変えていかないといけない。