Voyage of Life

3人の子育てパパが日常と読書から学んだコト

「エディ・ジョーンズとの対話 コーチングとは信じること」の読書ノート

ワールドカップラグビーで決勝に進出を決めたイングランドを率いるエディ・ジョーンズさん。

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 前ヘッドコーチとして、今の日本代表を世界と争えるレベルに引き上げたのは、そう。

この人だそうです。

エディ・ジョーンズさんがコーチという仕事をするうえで、どんなことを大切にされているのか。

日本代表のヘッドコーチ時代のインタビューを元に書かれた本「ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話」を読みかえしてみました。

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 この本の中から、特に、印象深かったところをまとめておきます。

 

歴史を作れるチャンスは一度だけ

エディさんは、間違いなく、熱い。

出会ったことはないですが、この「歴史を作れるチャンスは一度だけ」という言葉を聞いただけで、いま、この瞬間にかける思いが伝わってくる。ちゃんと覚悟決めないとだめだよという熱量が伝わってくる。

 

コーチングとはアートである

コーチングとはアートだという。

選手ひとりひとりにとって、今何が必要なのか。

さまざまな情報を組み合わせて、状況をよく観察して、適した方法を見極める。組み合わせを考える。そして、どういう伝え方をするかを決める。

こういう技術は、ひとつの正解なんてなくて、ロジカルシンキングだけでは片付かない。

心で感じて、こうなんじゃないかというのを、ぱっと見つけて表現する。

アートってなんだ?ということを、この本はそんなに説明してくれてはいるわけではないが、おそらくそういうことを「アート」と言っているんじゃないかと思う。

 

コーチが伝えるべきこと

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コーチが伝えるべきことは、もちろん、状況に応じて変わるのだろうが、この本で挙げられていた以下のことは覚えておきたい。

 

信頼

きみを信頼しているというメッセージを伝えること。

これさえできれば、それなりのレベルにあるプレーヤーは、存分に力を発揮するのかもしれない。

こうしろ、ああしろという介入をいかに抑えて、選手の責任感とクリエイティビティを引き出していけるか。そのために、コーチは、ただ信頼しているということを伝えれば良い。そして、選手の決断を見守り、理解しようと努めるのだ。

 

必要性

自分は必要とされている。

そう選手が感じられることが大切だ。

試合から外された選手には、ことさらのしっかりしたケアをする必要がある。仕事でもそうだよな。変な人事の都合で、報われない想いを抱いたかもしれない社員には、しっかりと対話をする必要があり、その人を失いたくないのなら、そこから目を背けてはならない。

 

戦略

コーチは優秀なセールスマンであるという。

なにをセールスするのか?

自分の戦略である。

戦略を選手に信じてもらうということを、一生懸命にやらないといけない。

これは、経営者はもちろん、何かを決断して仲間に動いてもらおうとするすべての人たちに必要な意識かもしれない。

自分の戦略、作戦、やり方を信じてもらい、人に動いてもらうことで、何かが成し遂げられるのだ。

 

数字

戦略に通じるが、エディさんは、データを駆使することで有名のようだ。

あるとき、リーグ戦の上位チームとの差を調べたら、その差はわずか3%だったとのこと。

ペナルティキックの成功率とか、スクラムの勝率とか、そういう数字のことだが、わずか3%の違いだけだよということを明確に示すことで、上位に食い込むことが決して難しいことではないという意識を選手と共有したようだ。

五郎丸選手のペナルティキックの成功率を数%高めてくれというような話から、あの有名なルーティンのポーズも生まれたのだとか(昔からやってなかったのかな)。

 

集団を強くするには

集団を強くするにはどうすればよいか?

その答えは、下位の10%を中位に引き上げることだという答えが意外だった。

集団において、選手たちをあえて区分けするとしたら、上位が10%。中位が80%、下位が10%となるらしい。

その下位10%の選手たちを引き上げるというのだ。

上位は放っておいてもやるからという理由だ。それにより、ボトムアップされて、チームに刺激を与えていくということなのかもしれない。

 

成功しているチームにあるもの

成功しているチームには、以下の4つのものがあるという。

  1. ハードワーク
  2. 楽しさ
  3. 規律
  4. 柔軟性

ハードワーク。やはり、やるときに、めちゃくちゃハードにやる集団は強いし、それなしには、何もなし得ない。しかし、楽しさがなければ長続きはしない。

人は、ただただ、ハードに船をこぎ続けることなんて、できないのだ。

規律というのは、細かなところに配慮できたり、みんなと息を合わせたり、決まりに従えることである。しかし、それだけでは、変化に対応できないから、柔軟性も必要なのだ。

そのほかになにか挙げるとすれば、なんだろうか?

プライド

思いやり(愛?)

信頼

共通の価値観

 

これらは、少し精神的な切り口の話になるが、こういうものがあれば、もっとチームは強くなると思う。

 

リーダーに求めるもの

リーダーになるべき選手として、以下が挙げられていた。

  1. 絶対に勝ちたいと思っている
  2. 懸命に練習する
  3. 他の選手に良い影響を及ぼし、責任を持たせられる

1つ目は少し意外だった。これが挙がってくるということは、ラグビー界でも、みんながそんなに勝ちたいという思いが強いわけではないのだろうか。

2つ目は、ハードワークの話だ。やはり、口だけのやつはだめなのだろう。

3つ目は、みんなに責任感を持たせられるということ。人を育てようという意識が、リーダーには必要である。チームとして向上していかないといけないのだ。

 

そのほか、キャプテンにふさわしい人というのは、チームのステージによって変わるんだという話がとても興味深かった。

チームが団結することが必要なときは、廣瀬俊朗。

世界で体を張って戦うステージにおいては、リーチマイケルなのだ。

 

日本人に必要なこと

謙虚なことは向上していくためには大切だが、もっと自分を肯定せよとエディさんはいう。

自分の強みを知り、それがチームでどう機能するかを理解できているやつが強いのだ。

多少、ぶつかってしまうことも恐れず、意見を言っていくことも必要なのだろう。

 

おわりに

ワールドカップラグビー2019、決勝戦に進んだイングランドを率いるエディ・ジョーンズヘッドコーチ。

試合後には、どんな表情で、ピッチに立っているのか。とても楽しみです。