京都の春光院の川上全龍副住職は、とても流暢な英語で、座禅のワークショップを行うことで有名である。Googleなどが社員の教育や社内の活動の中に取り入れているというマインドフルネスについても造詣が深く、世界中のエリートが、彼の禅のクラスを受けに来るという。
瞑想で得られるもの
座禅における瞑想とマインドフルネスを同じものとして扱って良いのかわからないが、彼は瞑想の効用について、次のように語っている。
マインドフルネスの本、いくつか読んだけど、
こんなにシンプルにわかりやすく瞑想のメリットを語っているのは見当たらなかった。
まずストレスを減らして、そして今度はメタ認知的な見解、つまり、あるがままに物事を見ることです。
その時に、感情を排除しようというのではなくて、感情というものを理解しようとすることです。
自分がどういう感情を持っていて、何を感じているかなど、そういうものを理解することによって、メタ認知、つまり自己認知も上がりますし、自己認知が上がると他人も理解しやすくなるんですよね。
結局のところ、同じ脳の部分を使っているのでそうなるのですが、他人を理解するための共感力が上がると、Compassion(慈悲)も生まれます。
「慈悲」と言うと、宗教的だとか、また坊さんが喋ってるよと思われるかもしれませんが、面白い話、慈悲の心や哀れみの心によって人を幸せにしようと思うだけで、人間は幸せになれるんです。
それだけでドーパミンが頭の中に出てくるので。
ちなみにストレスが減れば、免疫力も高まるらしいです。
川上副住職の座禅のクラスに参加してきた
そんな川上全龍副住職のお話が聞けて、座禅が学べるクラスが、京都でほぼ毎朝開かれています。
JR京都駅から山陰本線に乗って10分くらいの花園駅から徒歩10分。
妙心寺という大きな敷地。
とても空が広く感じる広大な敷地である。
その一角に春光院は建っていた。
こういう看板がかかっています。
Experience the World of Japanese Zen at Shunko-in Temple.
入ってみると、普段韓国で働いているというアメリカ人が1人待合いに座っていました。
週末に、ここをめがけて、わざわざやってきたのだそうだ。すごい。
そして、奥の間に通されました。丸くて、分厚い座布団が並べられていました。
こんな感じで、みんなの正面にあの川上副住職が座り、禅の講義をしてくれました。
座禅(瞑想)の基本を知ることができた
参加者は僕以外は全て外国人でした。10人くらいかな。
容赦のない流暢な英語で講義が進むので、話の内容は5割程度しかついていけてませんが、雰囲気はわかりました。
座禅では、とにかく呼吸が大事。
5秒鼻から吸って、10秒でゆっくり鼻から吐く。
その間、鼻から息が出入りする感覚を感じる。
目線は、1mくらい先の床を見る。そうすると、自然に半分閉じた目になる。
足は片足をもう片方の膝の上に乗せる。両方乗せてもいいらしい。先生は片足だった。
いろいろな考えが頭をよぎる。
いろいろと考えが浮かぶことに気づいたうえで、また鼻の呼吸の感覚に意識を戻す。
その繰り返しです。
クラスでは、まず説明の後、15分座禅をします。
その間、先生もひたすら座禅をしていました。
ボクは、真似をするために、先生の様子を時々みながら座ってました。
あとで知ったのですが、こういう座禅体験は、珍しいのかもしれません。
先生は、棒を持って歩き回るという形もあるのですが、その場合、お手本がないので、どうすべきなのかがよくわからない。
その点、川上副住職は、自ら、完璧に集中した座禅モードに突入してくれたので、ああ、こんな感じなのかと、よくわかりました。
座禅の難しさ
そして、この15分で、座禅の難しさを知ることとなりました。
そんなに安定した呼吸をゆったりと続けることができないのです。
まず、鼻から吸って、おそらく鼻から吐くということ。先生の様子から、10秒くらい吐き続ける感じですが、その吐ききる際には、なんともいえない、お腹全体から響いてくるような吐息が聞こえました。
中休みに先生が語ったのは、呼吸をするための、姿勢の大切さです。
しっかりと姿勢をまっすぐにして、横隔膜が自由に大きく動くスペースを確保しないと、そんなにゆったりとした呼吸はできないということを言っていたと思います。
足も痺れてきました。
しかし、15分のあとの5分の2回目の座禅は、ものすごく早く感じました。
先生の話は、まさに今回のインタビュー記事(「世界中のトップエリートが集う禅の教室」誕生秘話 – INDUSTRY CO-CREATION)で語っているような話でした。
座禅を終えると、お庭を見せてくれました。
また、感覚を忘れてきたら、行ってみたいと思います。
春光院のホームページはこちら。
本も出されたみたいです。