ジョギング、筋トレ、勉強、英会話、禁煙、ダイエット。
何かをやろうと決めたのに長続きしない。自分はなんて意思が弱い人間なのだと落ち込んだことはないでしょうか?
ストレートなタイトルに惹かれて石田淳氏の「新版「続ける」技術 Forest2545新書」を読んでみましたが、実は続かないのは意思の問題ではないらしいです。
ポイントをまとめてみました。
1.続けるために必要なのは意志の強さではない
「続ける技術」には、意志の強さや根性は全く関係ありません
アメリカのADI社が、行動科学に基づいて開発した「行動科学マネジメント」。本書は、それを紹介したものですが、続けるためには根性や人間性が必要なのではなく、ノウハウやコツがあるのだと言います。
根性もある程度は関係するんじゃないの?と思いつつ、まずはそのノウハウを聞いてみようではないですか。
2.ある行動を増やしたいのか、減らしたいのか?
まず、続けたいこととは、なんらかの行動を増やしたい話なのか、減らしたい話なのか、どちらかです。
まずはそれがどちらなのかをはっきりさせてください。
それによって、対策が変わってくるということです。
例えば、毎朝ジョギングしたいけれど、ぎりぎりに起きてしまう。
そういうときは、ジョギングというターゲット行動を「増やしたい」という話です。
いつも早く帰ろうと思っているのに、ついつい残業してしまう。
そういうときは、残業というターゲット行動を「減らしたい」という話です。
3.環境条件を整える
行動を考えるために、まずはその行動につながる環境や条件にフォーカスしましょう。
つまり、ターゲットとなる行動を増やしたいならば、その行動が起きやすい条件を整えるのです。
ある行動を減らしたいならば、その行動を阻害するような条件や、ライバル行動を促す条件を整えましょう。
どんな条件や環境であっても気合いで乗り切れというのは、とてもしんどいですから、そういう根性論ではなくて、ちゃんと条件や環境を整えましょうというのが、この本の行動科学マネジメントという意味なんだと思います。
4.行動を増やすためのポイント
ターゲットとする行動を増やすためのポイントは以下の3つとのことです。
・行動のヘルプを作る
行動の発生確率を高めるための刺激やルールを作りましょう。
例えば、ジョギングすることを思い出すために、ジョギングウェアを目につくところに吊るしておくとか、やろうと決めたことを始める合図として、ToDoリストにアラームを設定しておくとか、そういうことです。
・動機づけ条件を作る
行動したときのメリットを考え、それに見合う条件をつくる。
ジョギングのメリットがその後に飲むビールが最高に美味しいことなんだとすれば、ちゃんとビールを冷やしておくということです(合ってるかな?)。
超スポーティでスタイリッシュなジョギングウェアで、街行く人の視線を釘付けにするのが気持ち良いというならば、そういう最高にオシャレなジョギングウェアを買っておけということです。
ヘトヘトで仕事から帰った後にはとてもジョギングをする気になれないというならば、ヘトヘトに疲れるほど遅くまで仕事をするな。あるいは、ジョギングを夜するなということです。
・行動のハードルを低くする
行動の障害となるものを取っ払いましょう。
冬は寒くてジョギングに行く気になれないというならば、めちゃくちゃ暖かいジョギングウェアを用意しておきましょう。
健康のために水をたくさん飲むようにしたいけれど、飲むのがめんどうというならば、水筒に水を入れて机の上においておきましょう。
5.行動を減らすためのポイント
ターゲットとする行動を減らすためのポイントは、上記の行動を増やすポイントの逆になります。つまり、以下の3つです。
- 行動のヘルプを取り除く
- 動機づけ条件を取り除く
- 行動のハードルを高くする
たとえば、残業を減らしたいときにはどうすればよいか。
「行動のヘルプ」として、定時のチャイムが鳴ってくれます。しかし、スルーしがちになっています。
「動機付け条件」として、「たくさん残業して頑張っているね」と評価されるという風潮は消えつつあります。しかし、早く帰ると余裕ありとみなされて別の仕事を頼まれるかもしれないという別の「残業をする動機づけ」がでてくるなど、なかなかこれも難しい。
だから、残業の「ハードルを高くする」ために、自分はほとんど残業しないと宣言するか(できないか・・)、約束を入れてしまいましょう。友人との約束、妻との約束、子供との約束、そして、自分との約束。
約束を破ったり断ってまで残業をするというのはかなりハードルが高いものになります。
6.何かを続けるためのステップ
何かを続けようというときの具体的な5つのステップがまとめられています。ここでは、ざっと項目だけをまとめておきます。
- STEP1: 決意を明らかにする。なぜその行動を続けたいのか?(例:なぜフルマラソンを走りたいのか?)
- STEP2: 増やしたい、減らしたい行動を明確にする。(例:週3回、30分走る)
- STEP3: 数値化された目的・ゴール(スモールとラストゴール)を設定し、できれば公開する。(例:半年後にフルマラソン走る)
- STEP4: 日々の結果と行動の増減を計測し記録する。(例:累計時間をグラフ化)
- STEP5: 行動が増えているか、減っているかをチェックする。(例:グラフを振り返る。見せ合う。)
7.その他の続けるためのコツ
その他、続けるためのコツとして気になったのは以下です。
- その行動を行う時間、頻度を決めておく
- ごほうびを決めておく(ポイントカードを作る)
- ペナルティを決めておく
- 結果だけではなくプロセスもみる
おわりに
6番目の「続けるためのステップ」についてですが、目標を立てて、計画をつくって、やってみる。ここまではやれます。
しかし、その先が続かない。
この本を読んで、続けるためのステップとして大切なのは、その結果を見える状態にして定量的に振り返ることであり、結果だけではなく、行動が増えたかどうかというようなプロセスも評価して、前進していることを確認するということだと感じました。
まあ、結果がすぐに得られることなんて限られていますし、それだったら苦労しなくても続けられるでしょうから、続けるのが難しい問題に対しては、結果だけに捉われないことが大切なんですね。
もう一つ本書が強調しているのは、行動を促す、あるいは、妨げるような条件・環境作りの大切さということです。
何もないところから行動に気力で入っていくのではなく、自然な動きの中で行動に入っていけるような環境づくりを、少し意識していきたいと思います。
以上、ボクの解釈も入れながらまとめていますので、気になった方は、ぜひ具体例豊富な本書をチェックいただければと思います。。