SONY創業者の井深大氏の著書「新版 幼稚園では遅すぎる 真の幼児教育とは何か」を読みました。
昭和46年に書かれた結構古い本ですが、「幼児の可能性は、3歳までに決まってしまう」という刺激的な言葉が書かれていて気になったわけです。これについては、データにどこまで基づいて導かれた結論かという面でやや弱い側面を感じましたが、それなりに傾向として言えることはありそうなので、あまり極端にならない範囲で幼児教育という意識を持っておいて損はないかもしれません。
人の能力や性格の8割は3歳までに形成される
人間の脳細胞の発達は、三歳までにその70−80%を終える。
「遺伝的な要素が強いとされてきた人間の能力や性格は、じつは0歳から3歳までの幼児期に大きく形成される」らしいです。人は生まれてきたときはそれほど大差がない。
かのモーツアルトも、父親がものすごく教育熱心だったらしく、生まれながらの天才というわけではなく、生まれてからの教育の賜物であるということが書かれていました。
成功の理由が、生まれ持ったものか?産まれたあとの環境か?という問いは、なかなか科学的な答えが出せない難しい話です。
筆者は、幼いとき狼に育てられたアマラとカマラが、その後も人並みの能力を取り戻せなかった話を、育てられた環境の持つ大切さを示す例として挙げてますが、この逸話そのものの信ぴょう性は以下の記事があるようにやや薄れているところがあります。
世界が騙された「オオカミ少女」というウソ - NAVER まとめ
しかし、次のような「世界子供白書(ユニセフ)」の言葉があるように、脳の回路の大部分が繋がると言われる3歳までの経験や環境が特に大切だということは確かなようです。
ユニセフ 世界子供白書2001「幼い子どものケア」|日本ユニセフ協会
特に人間は頭の中が真っ白に近い状態で生まれてくる
2足歩行をする人は、胎児が母胎の中に長くとどまることができず、他の動物などと比べると、非常に無力でかつ真っ白な状態で生まれてくるらしいです。(生まれてきてからすぐに自力で立ち上がる馬とかと比べたら、確かにそうかも)
真っ白で生まれてしまうからこそ、その時期に刺激を受けやすく、人は能力を大きく発達させることができるのかもしれません。
3歳までに学ぶべきもの
3歳まではどんなにたくさんのものでも詰め込めるし、興味を持ったものはなんでも覚えるらしいです。
なかでも、外国語、絶対音感、運動神経、絵心などは3歳までにほとんど決まってしまうそうです。
また、知能指数とかではなく、判断力や価値観や感受性というような計量不可能な能力を開発するのに効率が良い時期なようです。
世の中に、幼児教育として、3歳児までを対象とした教室などがいろいろとありますが、その目的は「柔軟な頭脳と丈夫な体をもった、明るく素直な性格の子どもに育てるため」ということです。
バイオリン教室とか英語教室とか、いろいろあるみたいですが、バイオリン奏者や英語ペラペラの人間に育てようというのが主目的ではないというところが大切ですね。
具体的に何をするのがよいのか?
では3歳までに具体的に何をするのがよいのか?あまり具体的なことは語られていないのですが、次のようなものが挙げられています(抽象的なものも含みます〜)。
- 放ったらかしはよくない。赤ん坊が声を出したら必ず答える
- 子どもの前で夫婦ゲンカをしない。明るく和やかに過ごす
- 子どもとの会話を大事にする。スキンシップをはかる
- 刺激の多い環境におく(兄弟は多い方が良い、祖父母との接点を増やす、赤ん坊どうしの交流を増やす)
- 叱るより褒める(よくやったね。じゃあ、こんなのはできるかな?)
- いかに興味を持たせるかを考え、芽生えた興味をサポートする(押しつけず、やってみせたりして、やりたい気持ちが出てくるのを待つ)
- 望ましい行いにはやって楽しいという快感を与える
- 音楽を学ぶ(繰り返しの訓練が集中力を養う)
- トランプの神経衰弱をする
- 鉛筆やクレヨンを持たせ、自己表現させる
- おもちゃを与えすぎない
- 粘土、折り紙、切り紙など手を加えれるおもちゃで遊ぶ
- 部屋を整理しすぎない
- 赤ん坊は少し態勢を起こして、いろいろなものが見えるようにする
- 体を動かす。よく歩かせる。
- 利き手以外も鍛える
おわりに
うちの下の子も3歳になる日が近づいていますが、特別に幼児教育めいたことをやっているわけではありません。
ちょっと知るのが遅かった〜と思いつつ、だけど、やはり兄妹のおかげで、いろいろなことを吸収しているようで、成長も早いように感じます。
「なぜ2人目や3人目の子供は成長が早く感じるのか?」の記事を書いたころは、この視点はあまりなかったのですが、脳の成長を助けるための刺激を兄妹からたくさんもらっているのかもしれません。
家族の会話は1人目よりも3人目は6倍にもなりえますものね(「子ども3人育てることは2人育てるのと全く違うという話」より)。
まあ、元気にすくすく育ってくれることが第一ですが、こういう意識を持つことも損ではないなと思いました。
以上、「幼稚園では遅すぎる理由」についてでした。。
気になった方は、原書をチェックしてみてください。