(写真 Amazonのホームページより)
パンがおいしく焼けるという、バルミューダのトースター(「マーケティング調査をしてはならない時代」)が気になって仕方ない今日この頃ですが、朝食はご飯派なんです。
寺尾社長の生き様と、扇風機やトースターの開発秘話が語られている、寺尾弦社長と糸井重里さんとの対談(ほぼ日のサイト)がとても刺激的だったので、紹介したいと思います。
ボクが着目したのは、寺尾社長が新しいモノを生み出して、世の中でブレークさせるまでのプロセスです。勝手に分析してみました。
問題意識を持つ
豊かなこの時代、どうすれば問題を解決できるかというHOWよりも、何をすべきか、何が求められるかというWHATを見出すことが難しいと言われます。
寺尾さんの話を聞いていると、問題意識を持つために、次の2つが必要なのだと感じました。
- これからの世界を見据えて、何が必要になるかを考えること
- 心地よいものと心地わるいものをよく感じながら生きること
地球温暖化や原子力の課題など、世界の電気代は高くなる方向だから、この先まだまだ扇風機は求められる。
なのに扇風機の風って、心地良くない。ずっと風にあたれないから首振りを使うので、効率も悪い。
そういうところの問題に、まずは気づけるかどうかです。
問題解決のアイデアを思いつく
それを解決する方法を、流体力学の本を数冊あさることで基礎知識を得て、テレビで見た小学生の30人31脚をきっかけに思いついてしまう。
遅い風と早い風を並べることで渦を壊し、自然に近い「面でやってくる風」を作り出せるという着想を得たのだ。
これに2ヶ月しかかかっていないというのは、すごい。
どんな過ごし方をしたのか、とても気になる。
アイデアをカタチにする
アイデアを思いついたとしても、実現するのはさらに難しいものです。まず、本気で行動に移せるかどうかで、多くの人はふるいに落とされてしまいます。
寺尾さんは、このままでは会社がつぶれるという状況なので、迷いがありません。
しかし、安易にこのアイデアを大企業に売ったりせずに、自力で商品化したいというロックンロールの魂を持ってました。元ミュージシャンらしいですし。
スティーブジョブズのいう「stay foolish」って奴ですね。
銀行に行っても資金を貸してくれないので、協業できそうなモーター工場のオヤジさんに資金提供を頼みます。
そして、デモ機を作るところまでこぎつけたのです。
中国にいって、2週間でデモ機を作ったというのがあっさりと語られています。スゴイ。
やはり目に見えるカタチにしないと、人は動かせない。デモ機は必須のようです。
世の中に売る
デモ機を持ってどうするか。
これを作りたいから金貸してと銀行にいうのではなく、まずはカタログ通販屋に行って、3000台の注文をとってきたらしいです。
そういうの、面白いね!という人をちゃんと探して、売り込むところがかしこい。
そして、例のモーター工場のオヤジさんに、金を金貸してくださいといい、オヤジさんに銀行からお金を借りてもらったという。
この親父さんも、相当な胆力だが、寺尾氏の「絶対に売れる!」という気合いが人を動かしたのだと思います。
そして今度は、家電量販店に行かずに、芸能事務所で待ち伏せをして、家電芸人に売り込み、テレビで紹介してもらう。そして、問い合わせ殺到してブレーク。
3万円の扇風機が、その初年度は1万2千台も売れたそうです。
ここでも、「面白い!」モノを探している芸能人に売り込むところがスゴイ。
そして、ウンチクが語れて、性能やモノが確かに良いなら、値段が高くても欲しいという人がいるこの時代を、寺尾社長は見極めていたのです。
おわりに
世の中で必要とされ、何より「自分がいい!」と思えるものをカタチにして、売れると信じて必死の覚悟で作り上げて売っていく。
こんなロックンロールの魂がイノベーションには必要なようです。