Voyage of Life

3人の子育てパパが日常と読書から学んだコト

「クニマスは生きていた!」を読んで(2018年読書感想文課題図書)

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クニマスは生きていた!」は2018年読書感想文コンクールの小学校5年生、6年生の課題図書になっているものです。

印象に残ったところを少し挙げておきます。

 

昭和初期の雰囲気がわかる

この本は事実に基づいたものであり、資料やデータ、写真を添えながらクニマスがどのような経緯で田沢湖からいなくなってしまったかが克明に描かれている。

昭和初期の暮らしぶりや、役人の指示に対しては、反論もままならなかった雰囲気などが感じられる。

 

人間が行う行為が自然環境に影響することがよくわかる

水力発電などのために、田沢湖をダム湖にする。

そのために、玉川の水を田沢湖に呼び込む。

比較的、単純な行為ではあるが、それが田沢湖の水質、そして生態系を大きく変えることとなった。

人間の行為が自然環境と直結していることが、よくわかる。

ちょっとしたことがバランスを変え、取り返しがつかないことにつながるのだ。

 

責任感が未来への希望を生み出した

当時の漁師たちは責任感に後押しされながら、クニマスの卵を国内の湖に送っていたという。

ご先祖様に申し訳ないという気持ちでいっぱいだった最後のクニマス漁師・久兵衛さんは、そのことを知り、この事実を世間に知らせることが何かにつながるのではないかと考えた。文章にして雑誌に寄稿したのだ。

そして、これがどこかの誰かにつながって、富士山の西湖などで、発見されたあの魚はクニマスじゃないか?という発想につながった。

この寄稿がなければ、クニマス発見!のニュースが生まれることになかったのかもしれない。久兵衛さんの責任感から生まれる行動が、世の中を変えていったのである。

 

まとめ

ちっぽけな人間が、地球や自然に対してやれることは小さなことかもしれないが、大きな影響を与えてしまうことがある。

そして、一人の漁師が書いた文章がクニマス発見につながっていったこともまた、小さな行動が世界を変えていくという話でもある。

小さな行動をおろそかにしてはいけない。

それしかできないということもあるけれど、

それが世界を変えていくのだから。

 

読書感想文のヒント

読書感想文を書く人に向けて、こんな切り口はどうでしょうか?

  • 昭和の初期は、今と比べて何が違いますか?
  • 人間の行為が自然環境に影響を与えることについて、どう思いますか?
  • 人間の行為が自然環境に影響を与えるという、他の例を知っていますか? 
  • あなたがもし、当時の漁師さんや久兵衛さんだとしたら、何ができたと思いますか?

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