Voyage of Life

3人の子育てパパが日常と読書から学んだコト

「2030年の世界地図帳」の読書ノート

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落合陽一さんの「2030年の世界地図帳」を読みました。

この本で、世界を読み解く切り口として挙げられているSDGs(Sustainable Development Goals)という国際的な取り組みは、これまでは、正直うさんくさいと感じていました。

ボク個人としては、学生時代から、エネルギーや環境の課題に興味を持ち、今の仕事をやっているわけですが、今改めて、企業がこぞって、バッチをつけたりしている状況には違和感があり、正直、冷めた目で見ていました。

しかし、この本で、落合陽一さんが、SDGsを肯定的に捉えていて、世界中の人々のメリットを考えることは、最大公約数的になって、なんだか自分ごとと捉えるのは難しいけれど、自分の手の届かない課題に対しても、考え続け、やれることをやっていくことが大切。

そんな風に語られているのを読んで、そうやって、世界の課題を考えるきっかけを作り、一つの目標を定めることは、未来が予測できない時代だからこそ大事なのかもしれないと思いなおすことができました。少なくとも、変な方向に暴走しないためのブレーキにはなっているだろうと。

というわけで、この本を読んで、特に印象に残ったところをまとめておきます。

 

膨大なデータと引用文献をビジュアルに

まず驚いたのは、膨大な引用文献です。

それをビジュアルに地図やグラフに落とし込んでくれてます。子供たちと世界の話、未来の話をするキッカケとして、とても良さそうだと思いました。

 

SDGsは世界の人たちと語る共通テーマになる

SDGsは、2030年までに達成しようという17の目標を掲げていて、これらは世界共通の課題なので、世界の人たちと語りあう上での共通テーマになるというのは納得でした。世界の人たちと、少し真面目な話をするときに何を話すか。もう悩む必要はなさそうです。

 

5つの破壊的テクノロジーが5つのテーマをどう変えていくか

注目すべき5つのテクノロジーとして挙げられているのが以下です。

  • AI
  • 5G
  • 自律走行
  • 量子コンピューティング
  • ブロックチェーン

これらが、以下の5つのテーマをどう変えていくかという話が書かれていて、面白かったです。

  • 食料
  • 健康
  • 資源
  • 都市
  • 労働

世の中を考える上で、この5つの切り口は使えそうです。娯楽という切り口もあっても良さそうですが。

資源については、エネルギーの話なので、何が書いてあるのかなと思いましたが、やはり持続可能なエネルギーの話としては、太陽光や風力という感じで、やや寂しい気はしました。

 

 アフリカの資源の呪い

資源の呪いという言葉があるのを初めて知りました。

資源があるからこそ、それを他国に売れば国が成り立つ。そうすると、国内の産業が育たないし、富の集中みたいなことも起こってしまう。

そう考えると、日本は、資源の少ない国というハンデキャップを背負いながら、必死で産業を回しており、ある意味、恵まれている側面もあるかもしれません。

 

ヨーロッパとアメリカの構図

世界は4つの産業階層に分かれているという整理がされていました。そういう風な構図なのだと、改めてとてもわかりやすかった。

特に、ヨーロッパは法と倫理を押さえ、理念を基に、パリ協定やSDGs、個人情報規制GDPRなどの枠組みを作って、世界を統制しようとしている。これに対して、アメリカは、GAFAMのようなIT企業のグローバルな拡大により、世界を実質的に支配しつつある。ヨーロッパの作り上げる枠組みとの小競り合いはやはり起きているし、パリ協定なんかにも、アメリカは乗ってこないわけですね。

アメリカは独自に、規制ではなく、イノベーションで、炭素排出を押さえようとしている。いわゆる、新しいエネルギー・リアリズム。世界はしっかりと戦略的にやりあっているのです。

 

日本はどうするか?

そんな中で、日本はどうするのかという話が大切です。

単に欧米の消費者となったり、コピーをしていては、未来がない。人口も減るばかりです。

日本独自の文化や歴史を大切にしながら、新しいテクノロジーを取り込んで、独自の世界観を生み出していかなければならない。

落合さんが「デジタル発酵」と呼んでいるものには、確かにヒントがあると思いました。

日本酒を世界に広めてブランド化し、プレミアム価格で売るような話とかは少しずつ耳にするようになりましたが、そういうことですよね。これは本当に発酵の話で、逆にわかりにくいですが、、

 

まとめ

というわけで、「2030年の世界地図帳」。

特に、最後に挙げられている、7つの対立軸の話はおもしろかったです。

先の読めない時代の中で、ボクらは、柔軟性を保ちながら、バランスよく生きていかないといけないわけです。それがよくわかりました。

世界には、個人では手が届かない課題が存在するけれど、それについて、みんなが考え、やれることをやる。そうしていかないと、世界が持続不可能な状態に急速に進んでしまうかもしれない。

さぁ、2020年からの10年。ボクらは、どんな世界を過ごしていけるのか。

やれることは限られている。だから、やれることを、責任を持って取り組む。やれないことは、主体者として頑張っている人を支援する。それがますます大事な時代に来ているのですね。